第2話 さそりとのコラボ配信
「とりあえず枠も立てたしサムネも作ったし、そのまま作業もほとんど終わらせちゃったな。あ、もう朝じゃん!ちょこっと仮眠しよっと」
そう言いながらベッドに潜るも、なかなか眠気が来ない。エナジードリンクを飲んだからだろうか。私は寝るのを諦めてお風呂に入ることにした。
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さそりさんとの配信は夜にあるので、それまでは暇だ。
私はVtuber1本なので他の仕事はなにもしていない。と言うと嘘になるが、たまに声優やナレーションのお仕事を貰うくらいで、ちゃんとした仕事はしていない。
だが、それでもそれなりに稼げているものだから今の時代はすごいな、と思う。
「どうせゴロゴロしててもつまらないし、お出かけでもしようかな!」
そう言って私はメイク用品を手に取ると、化粧台の前に座る。
私はそこまで顔が良くないので、メイクは必須だ。Vの姿はそこそこ可愛いのだが、リアルはそううまくいかない。さらにはココ最近スキンケアを怠っているおかげか顔にニキビができ始めている。
このままじゃやばい、とは思っているがどうもやる気が起きない。どうせVの姿しか皆には見せないから別にやらなくても、という気持ちが強い。
食事に関してもそうだ。前まではちゃんと自炊をしていたのに、ここ数ヶ月前からカップラーメンや温めるご飯、コンビニ弁当なんかで食事を済ませている。また、そのせいでしっかり栄養を取れていないせいか、少しづつ太り始めている。
たまには動かなきゃな、と思いつつ外に出ようとするが足が重くてなかなかお出かけに行くのを止めることも多々あった。でも今日はなんだか行く気持ちの方が強い。さそりさんとのコラボ配信があるからだろうか。そんなことを思いながら私はスニーカーを履いて玄関の扉を開けるのだった。
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「ゲームも開けたしボイスチャットも入る準備できたっ!よし、配信開始!」
配信開始のボタンを押し、配信開始のツイートをする。それと同時に「ついえら!」と書かれたコメントがたくさん流れてくる。が、今日はいつもよりもコメントが少ないような気がする。
いつもなら1万人を超える人が待機してくれているのだが、今日は5000人と半分くらいしかいない。そう不思議に思いながらさそりさんとのコラボ配信を始めるのだった。
配信が終わったら、いつもの彼との通話だ。
「ことはさん、今日は同接がかなり少なかったですね。半分ですよ半分。今日のコラボ配信のお相手の海宮さそりさん、少し悪い噂が立っていてそれのせいなのかもしれませんね。ことはさんも気をつけてくださいね!おやすみなさい。」
そう言って彼は通話を切る。
さそりさんに悪い噂・・・?
いや、ないだろうと思いつつもおたけさんが言っているので本当なのではないかとも思ってしまう。
そう考えながらエゴサ用のタグを開くと、ことリスナー(リスナーのことをこう呼んでいる)の皆が私に対して注意喚起ツイートをしているのが目に入ってくる。
「さそりちゃん、ああ見えて裏で悪口言ってるらしいから気をつけて!」
「さそりさんの悪い噂立ってたからことはちゃんの配信見に行かなかったけどどうだったんだろう」
そんなツイートを見ている度に、私のさそりさんへの不信度が高まっていくのだった。
人気Vtuberと最古参リスナーがバーチャルの壁を越えて恋をする話 ゆるり @sumire__yy
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