240723

【2024年7月23日】



「ジュンジュン頑張れ〜」


「うおりゃあああ」


 藍の応援を一身に受け、俺は目の前のハンドルを力いっぱいに回転させた。


「はい、お待ち!」


 額から汗がたらりと流れていくのを感じながら、藍に削り氷の山……俗に言うかき氷を渡した。


「代わりましょうか?」


「……大丈夫か?」


「馬鹿にしないで欲しいのだけれど」


 俺が精一杯に回転させてようやく回すことの出来たハンドルを千花が回せるとは思えなかったが、俺の発言で対抗心に火が灯ってしまったらしい千花は奪い取るようにしてかき氷機を自分の手元へと移動させ、見ていなさいと言わんばかりの視線をこちらに向けてハンドルを掴んだ。


「ぐっ……ぐぐぐ……」


「頑張れ! 頑張れ! ちーちゃん!」


 俺同様に藍の応援を一身に受けた千花だったが、俺たちが幼い頃から家にある旧式の手回しかき氷機のハンドルは僅かに動くものの氷を削るまでには至らなかった。

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