240710
【2024年7月10日】
「あの」
学食で教科書を広げ8人という大所帯で勉強会を開いていると、そらましがボソッと呟いた。
「どうした? わからない所でもあったか?」
「いえ、そうでは無くて……」
そらましはそう告げるとカバンから何かがいっぱい詰まった袋を取り出した。
「よいしょっ!」
そらましの教科書の上にドンっと音を立てて置かれたその袋には大量のクッキーが詰められていた。
「どうしたんだ……これ? 業務用か?」
「違いますよ。手作りです! 1人で勉強する時は何かをつまみながらじゃないと集中が出来ないので作っているのですが、ちょっとだけ作りすぎてしまって」
「ちょっとだけという量ではないと思うのだけれど」
あまり大きな声を出さないようにしていたつもりなのだが、俺たちの会話が聞こえてしまっていたのだろう。隣に座っていた千花がそう指摘してきた。
「ち、違いますよ! これはせっかくだからと差し入れ分に作ったものです。そこに作りすぎた分も足していますけど」
「差し入れなんてしなくても良いのだから、その時間を勉強に当てれば良かったじゃない」
「うっ!? そこを突かれると痛いです……」
「まあ、息抜きも必要ではあるし頭を使うと糖分を欲するから良い差し入れだと思うけれど」
「ち、千花サン!」
「……千花チャンが良いって言ったって事は食べても良いって事だよね〜」
そらましがクッキーを取り出した時からチラチラとこちらの様子を伺っていた華菜はクッキーの入った袋に手を伸ばしたが、その手は千花によってはたき落とされた。
「華菜はこの単元の問題が解き終わるまで食べてはダメ」
「そんなぁ!」
他の4人を見てみると徐々に声が大きくなってしまった俺たちの会話が原因で筆を止めてしまっていたのでここらで一旦休憩とする事にした。
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