240709

【2024年7月9日】



いっだぁぁぁ!」


 通学路に突如として俺の悲鳴が響き渡った。


 そんな俺の隣にはさげすむような視線を向ける千花の姿もあった。


「何なんだよ、急に」


「心当たりはあるでしょう?」


「無いよ」


 そう告げて辺りを見回してみると……

 俺たちの母校である中学校の指定ジャージー姿でキャップを被り、キャップの後ろにある穴からポニーテールを出し顔の両脇に前髪で細い触角を作った身長150センチメートル程度の少女が俺に心配そうな視線を向けていた。

 が、それは多分関係な……


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


 腕をさらに強く曲げられた。これ以上は曲がらないはずなのに……。


「本当に呆れる。私や藍で我慢できないわけ?」


「違う、違うんです。ああいう姿が千花に似合いそうだと思って……」


 さらに強く、ミシッと音が鳴ったと錯覚してしまうほど曲げられた俺の腕だったが、不思議と先ほどのような蔑む視線は感じられなかった。

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