240708
【2024年7月8日】
「先輩方、本日は宜しくお願いします!」
「しまーす」
いつものメンバーに響子を加えた6人に対して深々とお辞儀をしたそらましと、特に何をするのかわからないままそらましについて来た華菜を交え、俺たちは学食で今年度最初の試験に向けた勉強会を開催した。
「……むむっ。……ぬぬっ」
「少し口挟んでも大丈夫か?」
「楯サン! お願いしたいです! ……でも、楯サンの勉強の邪魔をする訳には」
「それなら大丈夫、今日は教える側だから」
去年は千花が藍に教え、かげっちとなっちゃんは互いに教え合っていて俺だけ1人で勉強を行う時間が多かったが、今年は響子という教え甲斐のある生徒がいるおかげで自分の勉強時間こそ削られるものの有意義な勉強会を過ごせていた。
と言っても、響子が自力で頑張っている間は手持ち無沙汰になってしまったので悩んでいる様子のそらましに声をかけてみた訳であった。
「実はここの解き方がイマイチわからないと言いますか、苦手で……」
「この問題か。それなら……」
俺はそらましに貸してあげようと思いつつすっかりその存在を忘れてしまっていた昨年使っていたノートを取り出した。
「担当の先生が違うから余計な知識を与えてしまうかもしれないけれど、このノートに書いてあるのを参考にしてみたらどうだ? 少し字が汚くて申し訳ないけれど」
「……これ、楯サンのですか? 全然汚くなんて無いですよ。むしろワタシの字より綺麗です!」
「あ〜 そらましだけ良いな〜 楯くん、かーにも貸して」
「華菜、敬語」
「千花ちゃん怖い〜」
華菜に冷ややかな視線を向けた千花は大きなため息を吐いてカバンからノートを取り出した。
「私のノートを貸してあげるからこれで我慢しなさい」
「やっ……」
絶句とはまさしくこのことなのだろうと感じるほど、華菜は綺麗に言葉を詰まらせた。
「汚い! むぐっ!?」
「良いから黙って勉強しなさいな」
「
「学校の時の私はこんなものよ」
「「……」」
突然冷房が強くなったのかと思うほど場の空気を凍らせる瞳をしている千花に後輩2人は目を見開いて驚いていた。
きっと数日もすれば慣れるだろう……。
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