240707

【2024年7月7日】



 七夕……だからといって特別なことをするような事は無いのだが、今年は日曜日という事もあって3人でデートをしていた。


「あっ、七夕飾りがある!」


「子供向けでしょう」


「……大人も書いているよ」


「保護者だな……」


 流石に小学生(もしかしたら保育園や幼稚園の年長さん)くらいの子供に約1年半後には高校を卒業する俺たちが混ざるというのは絵面が良くないような気がした。


「ほぉら、2人とも行くよ!」


「い〜や〜よ〜」


「行かないからって……力強いな!?」


 どこにそのような力を隠していたのかと思うほどの怪力で俺と千花は七夕飾りのあるテーブル前まで背を押され、不思議そうな目でこちらを見つめるちびっ子たちの隣で短冊に願い事を書く事になってしまった。


「おね〜ちゃんたちなんてかいたの?」


 自分の短冊を書き終えてからもその場に留まり俺たちを見つめていたちびっ子の1人は俺たち3人が書き終えたのを確認すると藍にそう聞いた。


「ん? お姉さんはね〜『ちーちゃんとジュンジュンとずっと一緒にいられますように』……ちーちゃんはこのお姉ちゃんで、ジュンジュンはこのお兄ちゃんのことね」


「ふーん、おね〜ちゃんたちは?」


「藍……そこのお姉さんと一緒。『3人でずっと一緒にいられますように』」


「へー」


 ちびっ子はその流れで俺を見た。どうやら俺をおに〜さんとは呼んでくれないらしい。


「お兄さんも同じお願いだったよ。『皆んなでずっと一緒にいられますように』って」


「そうなんだ! じゃあね〜」


 ニュアンスこそ違えど、ほとんど同じ願い事を聞いたちびっ子は満足したのか、面白みを感じられなかったのかそう告げるとあっさりと俺たちの前から走り去ってしまった。

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