240706

【2024年7月6日】



「ちーちゃ……」


 いつもであればひんやりとしている千花の身体に抱きついて涼もうとする藍だが、今日はギリギリのところで動きを止めた。


「……来なさいよ」


 いつもの事すぎて両手を開き受け入れ態勢を万全にしていた千花は動きを止め、広げた両手を下ろしてしまった藍にそう告げた。


めいさんに目に余る行動が多いって言われちゃって……」


「だから何? というか、今は私たちしかいないのだから我慢する必要なんてないじゃ無い」


「確かに、そうかも」


「その明さんって人が言っていることも確かに正しいかもしれないけれど、周りが認めてくれていることを無理にやめる必要は無いと思うぞ。それが本当に人様の迷惑になっていないのならだけど」


 そう言って俺も2人に近寄ると、千花が俺に向けて左の手のひらを突きつけてこれ以上近づかないようストップをかけてきた。


「楯が来ると少し暑くなるから来ないで」


 夏はよく言われている発言ではあるのだけれど、今のようなタイミングで言われてしまうと心にグサリとくるものがあった。

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