240701

【2024年7月1日】



「夏にカイロ使う人久しぶりに見た」


 以前に見たのは数年前の同一人物千花だったが……。


「仕方がないでしょう寒いのだから」


「それにしても限度があるだろう」


 週末にクーラーが修理されたからなのだろう、今まで以上にクーラーの効きが良くなった教室内は快適よりももう1段階涼しいくらいの室温になっていた。


 極度の寒がりである千花にとってその室温は心地良さは感じられず単純に寒いと感じてしまうようだった。


「ちーちゃんっていつもひんやりとしていて気持ちが良いよね」


「そういう藍は昔から温かくてありがたいわ」


 互いの利害が一致したからなのだろう千花は藍を膝に乗せ暖をとり、藍は千花で涼しさを得ていた。


「じゅんじゅんは行かないのか?」


「あのなあ……」


「楯は来ないで」


「そうだよ! ジュンジュンが来たらうちとちーちゃんが潰されちゃうよ」


「そうではなくて、楯は体温ぬるいのよ。暖をとるのに向いていない」


 言われなくとも2人の空間に混ざりたいなんて考えは持っていなかったが、いざ言われてしまうとなんとなく悔しさを感じた。

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