240621

【2024年6月21日】



「いやいや、俺たち誰一人として軽音部員じゃないけど参加して良いのか?」


「出て欲しいから頼んでいるっす」


 明才祭でのライブが無事終了して役目を終えた5002ごせんふこといつもの5人に響子は9月下旬に軽音部が計画しているという校内ライブの出演を依頼してきた。


「私としては明才祭でのライブは中々に悪い気分ではなかったから興味はあるけれど」


「うちも出たい!」


「僕も同じ気持ちだけど、出演をするにしたとしても僕ら『さん△カンケイ』1曲っていうのは……」


「だからと言って、誰かのカバーをするのも違うわよね?」


 かげっちと千花は視線を俺に向けながらそう告げてきた。


「……明才祭には間に合わなかったけど、作詞はしているからそれと合わせて2曲でどうだ?」


 なっちゃんと共に鋭意制作中なので完成するまでは黙っているつもりだったのだが、ついポロリと言ってしまった。


「2っすか……3が良いっすね〜」


「響子ちゃん、それはちょっとだけ難しいかも……。ボクも楯くんも作詞作曲は初めてだから伊吹先輩や音先輩みたいにバンバン作れないし……」


「確かに、言われてみれば先輩たちの作曲速度普通じゃないっすからね。じゃあ2……あっ! やっぱり3にするっす!」


「いや、だからな……」


「楯くんたちは今作っているのを完成させてくれれば良いっすよ。もう1曲は伊吹先輩と音先輩に作ってもらって、楯くんたちの5002ごせんふとうちらの五線譜でコラボするっていうのはどうっすか? めっちゃ盛り上がると思うっす!」


 響子の提案を聞いた俺はまずなっちゃんとアイコンタクトで、


「それならいけそう」


 と結論づけ、その後他の3人とも視線を合わせ、


「面白そうだからやってみよう」


 と僅か0.5秒で考えをまとめた。


「それでやってみよう」


 もちろん、伊吹先輩たちが首を縦に振ればの話ではあるが……。

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