240612

【2024年6月12日】



「アタシたちのクラスって、お好み焼き屋っすよね?」


 昼休みの事。藍、千花、なっちゃんの3人を囲む俺を含めた2年1組の男子生徒数名に対して、響子はそのような問いを投げかけて来た。


「なんで、藍ちゃんたちはメイド服着ているんすか?」


 当然の疑問だった。


 俺たちがクラスTシャツに腰エプロン、頭にタオルを鉢巻きのように巻いている姿なのに対して3人がメイド服姿であるなんて、誰でも不思議に感じるのは間違いなかった。


「いや、これは俺というか……俺ら男子が見たかったというか……」


「じゃあ、アタシが楯くんたちのメイド服姿を見せて欲しいと言ったら見せてくれるって事っすか?」


「ああ……理論上はそうなる……のか?」


 そもそもどのような理論でそのような結論に至るのかわからないが、ここで否定してしまうのはフェアでは無いような気がした。


「着替えて欲しいっす」


「いやいや、楯はともかく僕らのなんて見たいか?」


 人の彼女のメイド服姿を目に焼き付けておきながら隆斗りゅーとは俺だけを犠牲にしようとしているようだった。


「かげっち……」


「残念だが、りゅーとよ諦めるんだ。用意している」


「くっそ! 三影もそっち側か」


 メイド服姿のクラスメイトを見て欲望を満たそうとしていた俺たちは願いの代償としてメイド服を見に纏った。


 結果は言うまでもなく見るに堪えないものだった。

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