240605

【2024年6月5日】



「お納めください」


 休憩室にやって来た美帆は京都という文字の印刷された紙に包まれた何かを私に差し出して来た。


「週末に京都旅行へ行って来たというわけでは無さそうね」


「うぐっ……」


 図星だったようで、美帆の表情はグシャリと歪んだ。


「催事でやっている京都物産展でしょう?」


「ぐぐぐっ……」


奥歯を噛み締めすぎて砕けてしまうのではないかと心配になる美帆の表情に私はわざとらしくため息を吐いた。


「美帆の気持ちは良くわかったからありがたく頂戴するわ」


「ありがたき幸せ!」


 大声でそう告げた美帆は休憩室中の注目を集め、一緒にいた私まで注目を集めることになってしまった。

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