240527

【2024年5月27日】



「アニキ!」


 一限目の授業が終わってすぐの事。


 無駄すぎるくらいにキラキラとした笑顔で着飾った凛がしっかりと俺だけを見つめ、大袈裟に手を振っていた。


「その呼び方はやめてくれと言わなかったか?」


「すんません。つい」


 凛が嫌いだとか、苦手だとか、そのような感覚はないのだが、キラキラとした生粋の偶像のような笑顔は癪に触る感じがして仕方がなかった。


「で、何しに来たんだ? 教科書なら貸さないぞ」


「嫌だなぁ、アニ……楯くんってば。オレは生徒会っすよ? まあ、半分は正解なんすけど」


「……なんの教科だ?」


「国語借りて良いっすか? それと、これお土産です」


 机の中からつい先ほど終わった国語の教科書を取り出して凛に差し出すと、凛もこちらに何かを差し出していた。


「オレたち自主研修で犬山市の方に行ってたんでそこで買ったお土産っす。口に合うかわかんないですけど、お納めください!」


「そんな仰々しく渡してこなくて良いのだが」


「楯くんに献上するんだからこれくらいじゃ無いとダメじゃ無いですか」


「まあ、とりあえずありがとう。美味しくいただくよ」


「うっす!」


 そう告げると凛は颯爽と教室へ戻って行った。

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