240526

【2024年5月26日】



「なかじゅんに聞きたいことがある」


 までは俺の大親友だった、タカシーこと高嶋曜たかしまようは俺を喫茶ロトルに呼び出すとあまりに真剣すぎる表情でそう言った。


「メッセージ送ってくるのじゃダメだったのか?」


「それは……ダメだ。履歴が残る」


「残ってはいけない話なのか」


「そういうわけでは無いけど、見られたら恥ずかしいというか……」


「そんな恥ずかしい話を俺は今から聞かされるわけだな?」


 別にでの怒りがまだ治っていなくて悪態をついたわけではなく、ただ友人としてタカシーをいじってやりたくなった。


「なかじゅん的にはもう恥ずかしさとか無いだろうけど、あの……そのさ……で、デートってどうやって誘ってどこに行っている?」


「……は?」


 言葉の溜め方からてっきり答えるのを躊躇ってしまうような問いが投げ込まれてくるのではないかと警戒していたが、そのような事はなかった。


「いや、だから」


「質問の内容はしっかりと聞こえていたさ。それを理解した上での『は?』だから」


「頼むよ。なかじゅんにしか頼れないんだ」


 テーブルの上に手を置いて、深々と頭を下げるタカシーの姿があまりにも居た堪れなくなった俺はあくまでも俺なりの誘い方とデートコースをタカシーに伝授した。


 と言っても、俺がそのデートコースで藍や千花を誘った事は無いのだが。

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