240516

【2024年5月16日】



「そうだ」


 普段は会計室からリモートで参加している春奈先輩も珍しく生徒会室にやって来て全員別々の雑務をこなしていると、ピカルん会長が突然そんな声を上げました。


「ピカルんどした?」


「いや、大したことでは無いのですけど」


「なら、あとでメッセ送って」


「だからと言ってわざわざ記録として残すようなものでもないので言いますけど」


 そう返された春奈先輩はバツが悪そうな表情をしましたが、ピカルん会長はそんな事は気にする様子もなく続けて言いました。


「藍さんも凛くんも気を遣って生徒会にお土産を買ってこなくて良いですからね」


「えっ!?」


 驚いたようにそう声を上げたのはうちでも凛くんでもなくネオちゃん先輩でした。


「ピカルん、名古屋には美味しいものいっぱいあるのに!? 豆ちくわとか、手羽先とか、持って帰って来るのは難しいかもだけど天むすも!」


「見事に酒のつまみのようなラインナップですが、音生さんは俺が酒飲みか何かかと思っているのですか?」


「えへへっ」


 ネオちゃん先輩は照れくさそうに笑いました。ただその表情はピカルん会長をイジって突っ込まれたからという風には見えませんでした。


「実はわたしの好みだったり……」


「ネオさん好み渋すぎ。あたしは食べ物なら手が汚れない系かご当地カップ麺系で宜しく」


「あの、俺は今買ってこなくて良いと言ったばかりなのですが……」


 そんな事を言われても、先輩方にはいつもお世話になっているから買って来るつもりなのにと思いながらうちと凛くんは顔を見合わせました。

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