240515

【2024年5月15日】



「あ~と~い~くつね~た~ら~」


 毎朝恒例の髪結いの時間。藍はとてもご機嫌に歌をうたっていた。


「それ、正月を待つ歌だろう?」


「修学旅行待ちきれなくて替え歌にしちゃった」


「しちゃったって……わからなくはないが」


「月曜日が修学旅行だから……水・木・金・土・日であと5回寝れば良いのかな?」


「計算上はそうだな」


「ちーちゃんだと4回だね」


「確かに千花なら前日は眠れないまま当日を迎えそうではあるが、本人の前で言ったら怒られるぞ」


「ねえ、ジュンジュン……」


 藍は声を震わせながら俺の背後を見つめていた。


 それはつまり……俺の背後に今の会話をまるっと聞いてしまった千花が居ることを示していた。

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