240514

【2024年5月14日】



「部長さん休み?」


 放課後にCrowクロウへ行くと、レジカウンターに立っていた命さんはやって来たメンツの中に伊吹先輩の姿が見当たらないことに気がつくとそう問いかけて来た。


「確かにいない……響子なんか知っているか?」


「伊吹先輩なら礼堂先生に呼び出されていたっす」


「6月2日がどうのこうの言っていたけど」


 響子と音先輩が不在の理由を説明していると、命さんはあからさまに視線を五線譜から逸らして小さく


「やっば」


 と呟いていた。


「命さん?」


「いやいや、楯くん聞いて欲しい。聞いたところで楯くんには一切合切関係のない話かもしれないけれど聞いて欲しい。私はしっかりと礼堂先生にも五線譜の5人には是非とも6月のライブに出演して欲しいと伝える予定だったんだよ」


「それが何故だか言ったつもりになってしまったと……」


 命さんは申し訳なさそうに首を縦に振って答えた。


「あ、伊吹から。これから先生連れて来るって」


「……じゃあ、俺たちは練習するので」


「えっ!? 付き添ってよ」


 がっちりと肩を掴まれてしまった俺だが、今回は本当に俺には関係のない話なので早急にその手を退けてもらった。


 まあ、俺がいなくともどうにでもなるだろう。なのだから。

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