240511

【2024年5月11日】



「楯くん、おにぎり持って帰る?」


 明恵さんおばあちゃんがそう声をかけてくる時は決まってご飯が残っている時だった。


「持って帰ろうかな」


「おばあちゃん、ナナの分も出来そう?」


「出来るわよ」


「じゃあ、お願いします」


 おばあちゃんの握るおにぎりはを除けば誰が作っても変わらないような普通のおにぎりなのだが、何故だか朝日亭で働くスタッフの間ではとても人気だった。


 かと言って、が美味しさに繋がっているとは思えないので俺は常々不思議に感じている。


「はい、出来ました。これが楯くんの。こっちはナナちゃんと海くんの分も入れておいたから2人で食べなさい」


 おばあちゃんから渡されたおにぎりはいつも通り、俺の拳よりも若干大きなものだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る