240512

【2024年5月12日】



 普段はCrowクロウのステージでイベントが行われていても特に気にすることもなく過ごしている俺たちなのだが、今回はドタキャンしたバンドの代わりに五線譜が急遽出演するということで、命さんの計らいで関係者席という名の機材置き場でステージを見せてもらうことになった。


「響子たち全く緊張とかしている雰囲気なかったな」


「むしろ誰よりもリラックスしているように見えたのだけれど」


 五線譜にとって自分たちを知らない人たちのいる場所ハコでのステージというものは初めてだと聞いていたので観る側である俺が緊張してしまっていたのだが、開場前の5人はさいちゃんさんからの差し入れを食べながらゆったりと過ごしていた。


「これが上手くいったら5002ごせんふはお役御免になっちゃうかもだね~」


「それだけは是非ともやめて頂きたいですけど……それはそれとして、どうしてさいちゃんさんがここに居るんですか」


「さいちゃんさんのお仕事が午前中で終わりだったのと、『面白そうな事には、頭から突っ込め』がカラスイサイカー一族のモットーだからだよ」


「カラスイサイカーは一族ではなくて個人だと思いますし、そのモットー自体が別の一族の物じゃないですか」


「シッ! 始まるから静かに」


 自分からボケたというのにその仕打ちはイラっとしてしまったが、さいちゃんさんとのこのようなやり取りは久しぶりな気がしたので今日の所は不問にすることにした。

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