240501

【2024年5月1日】



「お手伝いします!」


 朝日亭がゴールデンウィークで絶えず混雑している中で客席からそう声を上げたのはそらましこと、大空真白おおそらましろだった。


「良いのか、そらまし」


「ワタシの料理が提供されるまではまだまだ時間がかかりそうなんですよね? こんなに大変そうなのに見て見ぬ振りなんて出来ないので」


「さすが、ヒーローガール」


「そ、その呼び方は恥ずかしいのでやめて下さい」


 呼び方に対しての恥じらいはあるものの、(おそらく人生で初めての)接客に対しての恥じらいというものは感じていない様子のそらましはテキパキとオーダー取りをこなし、配膳を初めてとは思えないほど正確に行っていた。


「先輩? どうかしました?」


「いいや。手際が良いと思っただけだ」


「先輩の見様見真似でしたけど接客のプロがそう言うのであれば良かったです」


「プロじゃないよ。俺は」


 働いているとまだまだだと感じることは多々あるし、俺よりも七海さんや海さん、ちー姉さんの方がプロ……プロフェッショナルだと思う。だからなのだろう、俺はそらましの屈託のない笑顔を真っ直ぐ見つめることが出来なかった。

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