240430

【2024年4月30日】



「今日の伊吹さんとても荒ぶっているようですが……」


 いつもであれば全員揃って練習をしているはずの五線譜(私たちの方ではなく軽音部の方)は珍しく伊吹さんと音さんの2人だけしかおらず、普段ならサイレントギターを主として使っているはずの伊吹さんがエレキギターをかき鳴らしていた。


「悩んでも答えの出ない時は大体あぁなる」


「悩み……また作詞ですか」


「今回は別」


 音さんはそう告げると愛用のエレキギターを手に取って練習を再開した。どうやらこれ以上は答えるつもりはないらしい。


「千花……」


 音さんのやり取りを見ていたらしい楯は不意に私の肩に手を乗せて静かに顔を横に振った。


「深くは突っ込むなって事なのね」


 どうやら楯は事情を知っているようなので、伊吹さんの悩みが解決した頃にでも聞いてみる事にして今日のところは引く事にした。

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