240429

【2024年4月29日】



「いらっしゃいま……えっ!?」


 挨拶を言いかけて驚く。朝日亭でバイトを始めてからの約1年間で何度か行った記憶のある動作を俺はまたしても行ってしまった。


「1人っす……」


「っと……相席でも良いか?」


 ゴールデンウィークということもあり混雑している店内は1人用の席さえも全て埋まってしまっている状態で相席をお願いする他なかった。


 が、そんなことよりも気になったのは……


「構わないっすけど、なんでそんなアタシの事見つめているっすか?」


「い、いや。何でもない。気にしないでくれ」


 少し前までしょっちゅう泣いていた藍を知っているから気がついた。響子の目は泣いた後のように目が腫れていた。


「小上がりにさいちゃんさんたちが居るからそこに相席してもらえるか?」


「……了解っす」


 少しだけ曇ったような表情になっていたのが気になったが、小上がりにいるさいちゃんさんから


「さいちゃんさんにまっかせなさぁ〜い」


 というアイコンタクト(脳内に直接語りかけられたような気もした)が送られて来たのでさいちゃんさんを信じる事にして俺は教務に戻った。

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