230409
【2023年4月9日】
毎週日曜の午前はいつも入念に準備を整え、不動を貫きながらシンケンにテレビと向き合う俺だったが、今日は外のハレワタール・ソラとは裏腹に心がざわつき週に一度の1時間半が過ぎ去っていた。
「バイトか……」
昨日、
「駄菓子屋……」
俺の脳裏に浮かんだのは一昨年毎週のように観ていたカラフルな駄菓子屋だった。
「いや、無いな」
俺の生活圏に駄菓子屋はいくつか存在するが、駄菓子屋の営業時間は俺が学生の本分を全うしている時間とほぼ同時刻であることに気が付き断念した。
というか、小学生から中学一年生の初頭まではしょっちゅう駄菓子屋を利用していたが、老夫婦がふたりで営んでいる駄菓子屋しか見かけた記憶は無かった。
「喫茶店……」
駄菓子屋の後に喫茶店が出てくるあたり俺は生粋の……だと感じながら、はてさて一体どこに喫茶店があっただろうかと思考した。
「確か、ユグドラシルに……」
入った事は無いが日の当たりにくい場所に一ヶ所レトロな雰囲気の喫茶店を見かけた気がした。
「店の名前は」
行ったことのない店の名前を思い出せるはずもなく、俺はスマートフォンを取り出して『ユグドラシル 喫茶店』で検索をかけてみた。
すると、ユグドラシルという商業施設内にある『喫茶ブラッドムーン』という店がヒットした。
店の名前と営業時間、店が薄暗いこととマスターの雰囲気が怖いこと以外の情報はインターネット上には記載されておらず、俺の知りたかったアルバイト採用情報は検索ワードを変えても見つかりはしなかった。
「一度行ってみるか」
デートで喫茶店というのも……まぁ、悪くはないだろう。
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