230407-5

「修学旅行で告白ってロマンチック! 二輪の花を同時に手にした男は違うね」


「やめてくれ。自分でしたこととはいえあの日の事は思い出すだけで顔から火が出そうだ」


 東大寺には二度と行けない。あの日のことを思い出してしまうから。


「随分と楽しそうだけれど、何の話をしているの?」


「あ、千花ちはなさん。それにあいさん。3人の馴れ初めを聞いていた所で……」


「……話したのね」


「かげっちは俺たちの関係を悪く言うようなやつじゃない。だから話した」


「そ、そうなの?」


 馴れ初めを話したと聞いて藍と千花は心配そうに俺を見つめていた。その視線をかげっちは気にしたようで、


「あんまり聞いちゃいけない話題だったかな?」


「いや、ふたりは心配しているんだよ。俺がにならないか」


「それって……」


「元々ふたりが付き合っていた話はしただろう? そんなふたりの間にある日突然割って入った男が居ればそれはもう非難の対象だ」


 それに加えて告白をした場所とタイミングが最悪だった。俺の視界には一切映っていなかったが、あの告白はクラスメイトだけではなく、それなりの数の他クラスの生徒にまで目撃されていたようで、その日のうちに俺は多くの友人を失った。


 高嶋曜たかしまよう


 彼もそのうちの一人だった。


「先本くん、そういう訳で楯には友人が皆無だからこれから仲良くしてあげて」


「勿論です。じゅんじゅんとはもっと仲良くなりたいですし。それと、おふたりとも」


「えぇ、よろしく」


「うちもよろしく……です」



 俺は久しぶりにの友人が出来た。根拠は無いが、かげっちとは何十年先も決して切れることのない強いで結ばれた親友でいられるそんな気がした。


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