230405

【2023年4月5日】



「クラス発表出たみたいだぞ」


 今更何も感じはしないが、当たり前のように俺の家に集まって特に何をする訳でもなく各々好きな時間を過ごしている藍と千花に俺はそう声を掛けた。


「うちは何組~?」


「私は?」


 二人のスマートフォンにも明才高等学校からクラス表が添付されたメールが届いているはずなのだが、何故か俺のスマートフォンを左右から覗き込んできた。


「二人の名前は……」


 中州楯おれ左久良藍あい右茶美千花ちはなもあまり一般的な名字ではないのですぐに見つかりそうなものだったが、1組にも2組にも俺たちの名前は一人として記されてはいなかった。


「もしかして、うちたち合格していなかったとか?」


「「ないない」」


 息を合わせた訳ではないが俺と千花は全く同じ反応をした。


「楯の名前見つけた」


「えっ? どこどこ?」


「1年3組か」


 藍か千花は何組になったのだろうか、出来る事なら同じクラスだと良いのにと考えていると二人の名前はあっさり見つかった。


「三人とも……」


おんなじクラス……」


「だな……」


 俺たちは目を丸くしてお互いの顔を見合わせると、力加減なんて忘れて強く抱きしめ合った。



 あとで母さんから聞いた話だが、この時のはしゃぎっぷりは合格発表の時と同じかそれ以上に喜んでいるように見えたらしい。



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