第27話 対策
1月も下旬に差し掛かろうとした頃、天使の守護会幹部会合が開かれた。
「半月ほど前からカプリコーンとサジタリウスとの連絡が取れなくなった」
「少数の捜索隊を派遣した所、すでに死亡したカプリコーンとサジタリウスを発見した」
「天球十二戦闘員のうち、すでに3人もやられてしまったか……」
「これは由々しき事態だ。相手はたったの一人だぞ?」
「戦闘の様子を確認していないため、詳しいことは不明だ。だが痕跡の状況から推測するに、相沢吉斗の体内には相当量の『グリムリーパー』が存在しているとみられる」
「覚醒状態にまで持っていかれたら、それこそ面倒なことになる」
「検査した血液の含有量から逆算すれば、あと2ヶ月もすれば自滅する計算になるが……。今のうちに、最大戦力をもって排除するか?」
「いや、相手は一人だ。数で押せばなんとかなるだろう。そのための天球十二戦闘員だ」
「あぁ、我々もただ見ているだけの存在ではないことを示さなければならない」
「我々の世界は、我々が創るのだ」
こうして、吉斗の排除を目的に、天球十二戦闘員の半分に当たる6人が派遣されることが決定した。
一方その頃、吉斗の家にレミとゴンが訪れていた。
「なんかカプリコーンとサジタリウスがやられたって聞いたんだけど、本当?」
「あぁ……。確かに二人くらい倒した記憶ありますね」
「マジっすか? ヤベェっすね」
そんなことを話しながら、ゴンは吉斗の血を少量抜く。定期検査である。
「んでも、そんなに運動して大丈夫っすか? カロリーの消費半端ないっしょ?」
「確かにそうですねー。カプリコーンとサジタリウスの二人を倒した後は、滅茶苦茶腹減って動けませんでしたし。予備の肉をしゃぶって凌ぎましたから」
「それもう限界キャンパーのすることじゃないですか?」
レミがそんなことを言う。
その間に、亜紀が夕飯の残りを持ってくる。この日は一口大のロールキャベツだ。
「ホント、大変でしたよー。帰ってくるなり、どこから貰ってきたかも分からない軍用のご飯食べてましたし……」
「それは大変だー……」
そんなことを言いながら、レミはロールキャベツを食べる。
「それで、天使の守護会の動きなんですけど、どうも相沢さんを倒すために戦闘員を派遣するようなんです」
「うへぇ。それは困ります……」
「しかも12人いる戦闘員のうち、半分の6人を派遣するとか」
「は?」
吉斗は思わず聞き返してしまう。
「6対1じゃ、どうやっても勝ち目ないですね」
「私たちのほうで、戦闘員の足止めはするつもりです。しかし、持って1ヶ月が限界かもしれません」
「そうなると、相沢さんのほうで作戦を立てるしかないっすねー」
ゴンが雑に言う。
「確かにそうかもしれませんが……。どういう作戦を立てるべきなんでしょうか?」
「そういうのって大抵落とし穴作るとかじゃない?」
亜紀が答える。
「しかし、落とし穴は作業コストが高い上に、費用対効果の面から見ても、最良とは言えないですね」
「うーん……、そうなると別の方法を考えないと……」
悩む吉斗に、レミが助言する。
「現状としての状況はよろしくありません。となると、病院や市役所側にもっと味方を増やす必要があります」
「確かにそれは言えてますね……」
「しかし悪いことに、病院や市役所に勤務する人の大半は、守護会に関わっていると言われています。その中から味方になってくれる人を探し出すのは至難の業でしょう……」
「それでも、やらないといけないんですよね?」
「えぇ。まずは、守護会に関わっていながらも、ぞんざいな扱いを受けている人から味方にするのが手っ取り早いでしょう。コネクションは私が取り持ちます。それで交渉をしてください」
「分かりました。その方向で進めていきましょう」
こうして吉斗たちは、対天使の守護会に向けて行動していくのであった。
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