007 能力

ペトラはべットで寝ている俺の手前に腰かけると、何から説明しようかなと言って から話し始めた。


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まずは唯が今ここで寝そべっているところから話したほうがいいかな

  

二日前、ある敵が唯を襲ってきた

まぁ、そこは覚えているって感じか

 

二度目の襲撃も覚えているか

そうか、ならその後からだな


相手は中々の強者を寄こしてきたからな、仕方なく転移して逃げたんだ

  

ここは問題ない、幾重にも結界が貼ってあるから特定の者以外はよほどのことが  

なければ見つけれんよ

  

ちな、着いたは良いものの、唯はずっと気絶してたし傷も多少あったから起きるまで看病してやった


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エッヘン、と言わんばかりに褒めてほしそうな顔をしている。 


でも、そうか。

落ち着いて体を見るとあちこちにぎこちなく巻かれた包帯が見えた。

  

少しではあるが、今は襲われる危険性がないということがわかり少し安堵すると 

 

同時に、目の前で褒められるのを今か今かと待つ美女は図々しそうに見えて意外に

 

親切なことも分かった。


   「今まで強く当たって悪かった、ありがとう」

 

と素直に伝えると嬉しそうに『そうだろ』と目を輝かせている。


――単純だ。

  

「あ、そうだ、美空は大丈夫なのか、あいつらが何なのかまだよくわからないが、狙いは俺だけじゃない可能性も」


そうだ、自分の身ばかりで忘れていた、あの状況、焦っていたのか、よく考えれば美空が狙いだった可能性もあるじゃないか。


そう思いペトラに問うと、

   

 『それはおそらく問題ないな、連中の狙いは十中八九唯が狙いで間違いない』

  

あちら側、何度か聞いた’’アラヤ’’というものに関係があるのだろうか。

   

「そのあちら側ってやつを教えてくれよ、それになんで俺が狙われるのかも」

  

ペトラは『わかってる、わかってる、順番順番』と呆れた表情を見せる。


『その辺も十分説明してあげたいけど、今は時間がないんだ』

   

『今は安全なこの場所もしばらくしたら出ないといけないんだ』

   

『だから、その辺の時系列より先に、唯、まずは力の使い方を覚えてもらう』

  

ペトラは真剣な顔でそう言ってきた。

   

「わかったよ、で、力ってなんだよ」

   

力とは何を言うのだろうか、襲ってきたあいつらのような技なのか、かーさんのようなテレパシーのような術なのか、それともペトラのような―――。


『まぁいくつかあるが、まずは’’アラヤ’’からだ』

   

「なんだよそれ」

   

『なにって――知らないんだっけ』


「聞いたことないぞ」

   

マナは驚いた顔をして、『琴葉と泥棒猫め、そのくらいは教えてもよかったろ』と聞こえる声でぼそぼそと呟いている。


『なんて言おうか、簡単にいえば全人類の深層意識、それはみんな同じところに行きつくみたいなもんだ』

   

「共感力みたいなものか」

   

『まぁ、血統のない一般人でいえばそんなところかな』

   

「血統?」

   

『そ、アラヤには7段階あるとされてな』

   

「7段階って、具体的に言うと何があるんだ」

  

マナは『よく覚えておけよ』といってアラヤについて説明し始めた。


―――――――――――――――


   1層目 思考解読

   2層目 意識介入

   3層目 接続

   4層目 過去視

   5層目 千里眼

   6層目 

   7層目 

 

―――――――――――――――


説明を終えたペトラは『よくわかっただろう』みたいな顔でこちらを見ている。

  

「なにもわからん」

  

『なんで!?』

  

ペトラは驚くと同時に涙目になっていく。

  

――段々とかわいく見えてきた。

  

「いや、1は言葉から何となくわかるよ、確かに表情とか仕草から思考がわかる人もいるって聞くし」

  

『まぁ、そうだな、2も簡単だぞ1が思考を読んで、2で意識を飛ばして思考に介入できるっていう寸法だ』

  

なるほど―――?

  

3段階目からは見当もつかない。

  

一体何なのだろうか。

  

6,7段階においては内容の説明もない。

  

「3段階の接続っていうのは?」

  

『それはな、人全ての意識の海であり、貯蔵庫。その貯蔵庫に接続して、過去の記憶や力を自身に写すことができる』

  

「なんだそれは―――?」

  

食い気味に説明し始めたペトラの回答は予想もしない答えだった。

  

そのまま解釈するととんでもないことになるんじゃないか。

  

『そう、とんでもない力。それが唯や叶が持っている力だ。二人を除くと現状この星には居ないはずだ。要は原理への扉に立っているわけだよ。』

  

「こっちの思考を読むな――というか、俺とかーさん?」

  

『そうだぞ―。まぁそもそも、唯の家の血が希少なんだよ。生まれる段階で道に立つことができている。ちなみに―――現在阿頼耶家本家と分家含め、二人を除けば、先代当主が数十代ぶりに発現したぐらいだ。血を持って生まれても、一生かかって2段階までいけたらいい方なのだ』


「なんで―」

  

『そりゃぁ、二人ともアラヤ家だからだ』


「説明になっていない―――しかも全く聞いたことがない…」

  

『それはそうだ、これは予想外でイレギュラー。当の昔にこの件については決着はついていたからな。今さらこうなるなんて」


ペトラの表情が暗く見えるのは気のせいだろうか。


『いや、琴葉はその可能性も考えていたのかもしれない。あえて全員に明かさないことで唯を守ったんだろうよ』


見えてこない。

説明を省き過ぎて全然わからない。

だが、あまりの情報量の多さに、何が足りないのかが分からない。


『あ、ちなみに唯は生まれた瞬間から3層目に到達していたんだぞはぁ、大変だったなぁ、三人で抑えたのを思い出すよ…トホホ』


「ふざけずに全部教えてくれ」

  

『――んー、続き話したいけど、長くなるから完全な安全確保まではお預け。ここもあくまでその場しのぎに変わりはない』

  

「ええ…」

  

『さ、ここをでなきゃいけないリミットは4時間を切っているんだよ、急げ急げ』

  

「くそ…なんで4時間なんだ、襲撃があるなら今すぐかもしれないだろ」

  

『結界には条件が付けれるが、条件、時間で強度を変えれるんだ琴葉は気配の消去と敵の排除を4時間という短い時間で縛ったんだ。これ以上の説明は時間の無駄だ、急ごう』

  

  そうして、長い長い4時間の訓練が始まる。  

  

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