006 知らない天井

―地下室―


 頭がぼーっとする。


 真っ白な天井が広がっている。


 こういう時は、


  「知らない天井だ」


とでも言うのが正しいんだっけか。


 というか、なぜか体が動かない。

 なんでこうなってるんだっけ、確かさっき襲われて―


  コツ、コツ、コツ


 足音が近づいてくる。


 誰だろうか。


 聞こえてくる足音はとても軽く、女性のように感じる。


 誰が近づいているのか確認したいが、全く体が動かない。


  コツ、コツー


足音がすぐそばで止まった。


  『やっと起きたか、さっさと起きろ』


 どこか聞き覚えのある強めの口調とともに目の前に超絶美人な金髪女性が現れた。


 ああそうか、夢かこれは。


 おやすみなさい。


  ビシッ


 恐ろしく速い平手打ち。


  「痛っ―何するんだ」


  首が取れるかと思った。


  『そこは、「俺じゃきゃ見逃してるねぇ」だろ!』


 と意味の分からない逆切れをかましてきた。


 どちらかといえば「ぶったな、親父にもぶたれたことないのに」な気がする。


 なんて思いながらその美女をよく見ると、どこか見覚えがある。


 青髪とこのきれいな顔立ち。


  「もしかして…ペトラか!?」

  『もしかしなくてもそうだろ!』


 何ということでしょう。

 あんな小さかった生意気妖精がこんな美女に早変わり。


 大人ペトラは「まったく」と言いながら自分の髪を手櫛で梳いている。

 

 一体何がどうなっているんだろうか。

 

  「なんで大きくなってるんだ?」

  

 何から聞いていけばいいか全く整理がつかないため、目の前の謎から聞いてみることにした。


  『どこを見ながら言っている、もともとダイナミックだ』


と自分の胸を持ち上げながら自信満々にアピールしてきた。

  

ひどく体が重く言い返す気にもならない。

  

はぁ、とため息をついてから

  

 「何が何だかわからないんだ、一先ず現状を教えてくれないか?」


と聞いてみた。


 『面白くないなぁ』

 

とボソッと呟きため息をつくペトラ。

 

しかたない、と口ずさんでから、現状について語り始めた。

   

    

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る