第10話 策略通り

――――標的をロック 攻撃を開始します――――――

スタートと同時にロボットは照準を俺に合わせた。俺も汎用型武器の照準をロボットに合わせ、トリガーを引く。

――――防御システム起動 ブロッカー展開――――――

するとロボットは防御システムを起動し俺が放ったビームを吸収するように無効化した。するとすぐにロボットは攻撃形態に移行し俺への砲撃を始めてきた。ロボットの攻撃は変幻自在、距離を詰めれば近接戦闘用の武器に切り替え、距離をとれば遠距離戦闘用の武器に切り替えてくる。攻撃は電流攻撃なのだが痛覚が麻痺してるおかけで痛くはない、しかし筋肉の麻痺はあるようで一定時間動くことができない。攻撃を食らいながらも勝つ方法を模索しながらの戦闘は続いた。

――――戦闘時間の限界接近中 ただいまより強襲形態へ移行します――――――

「景子先生、強襲形態って何ですか?」

戦闘をしながらも景子先生へ問う。

「まずいわ隼人君。このロボットは模擬専用として開発されたものの、実戦用としても使用できないかと技術部が改造してたの。今回はそのデータを消去して、模擬用としてのデータを入れてもらってたの。でも、強襲用の制御装置はそれ専用の制御装置として独立してて、戦闘時間の限界が近づいたら強制的に強襲形態に移行するようになってる。今回、その制御装置の取り外しを忘れてたみたい」

「忘れてたって・・・つまり今のロボットは模擬戦用のものではなく実戦用のもの・・・」

「気を付けて。強襲形態のロボットは、今までの攻撃に加え、がわが身を捨てて突進する技も使ってくるらしいわ。衝突されたらロボットは大爆発を起こし、生身の人間はひとたまりもないのよ」

「止める方法は」

「強襲形態に移行したロボットを止めるには、戦闘不能にするしかないわ」

――――強襲形態への移行完了 掃討を開始します――――――

「来るわよ」

「はい。何とかして見せます」

――――開始します――――――

と同時に、ロボットによる一斉砲撃が始まった。

「とりあえず物陰に隠れよう」

景子先生が実戦感を醸し出すため、障害物をおいてくれていて助かった。俺はその障害物の陰に隠れ、攻撃をかわした。

――――ターゲット ロスト―――――新しいターゲットを捕捉 ターゲット変更 照準合わせます―――――

「・・・・! まずい。景子先生が狙われる」

景子先生は自分の力の行使にエージェンシーを必要としない代わりに治療系以外の力をどんな手を使っても使うことができない。つまり汎用型武器も使えないということ。つまり

「応戦もできないし、防御もできない」

でもここからじゃ距離が遠く、ロボットのほうが近い。自分が盾になるのでは間に合わない。

「なら、これを使うしかないだろ!!!」

汎用型武器を捨て、握ったのは俺のエージェンシー「リボルバー」。

―――――照準ロック 砲撃準備完了 砲撃開始します―――――


創造しろ・・・防御の力に一点集中させろ・・・銃弾よ・・・黄に染まれ・・・

すると葦名の戦闘のとき聞いたのと同じ声が響いた。

「お前への守りたい気持ち。しかと受け取ったぞ。トリガーを引くといい。執行者の名を以て」


――――砲撃開始―――――

「やらせない」

俺はリボルバーの照準を景子先生に合わせトリガーを引き、撃つ。

景子先生の周りが黄色に包まれた。おそらく防御の力が働いているだろう。

「次はロボット、お前だ」

瞬時に赤一色の銃弾をリボルバーに装填し照準を合わせる。

――――緊急事態と判断 自爆形態へ移行―――――

景子先生に向かうロボットの移動機能と砲撃部品に銃弾を撃ち込む。

―――――移動不可 移動不可――――

移動も攻撃もできなくなったロボットはもう戦闘不能だろう。そう思った俺はすぐさま景子先生のもとに向かった。

「先生、怪我はありませんか」

「大丈夫よ。それに、データも十分集まったわ」

「・・・データ?」

「実は、ロボットの強襲用制御装置はあえて外してもらわなかったのよ」

「・・・は?」

「おかげで君の覚醒下のデータを得ることができたわ。いやぁ身を張ったかいがあった」

全てわかった。強襲用制御装置をロボットから外さなかったのはわざと。自分の覚醒状態を呼び覚ますためにあえて危険な状態にもっていったというわけだ。

「でも、どうしてこの状況を用意したら俺が覚醒状態になると予測できたんですか」

すると訓練室のドアが開き司令が入ってきた。

「・・・レクイエムの幹部との戦い、あっただろ。あの時君が覚醒したときの状況はお前の補佐がピンチに陥ったとき。つまり自分以外の誰かを助けないといけない状況に陥ったとき覚醒するのではないかと考えて、景子先生にもこれを伝えたのだが・・・。やりすぎです先生」

「あら、そうかしら。でもデータもしっかりとれたから、元は取れたわよ」

「まったく。以降はこんな危険なことしないでください」

「はーい、司令♡」

「さて、では早速データの分析に入ろうか。先生。よろしくおねがいします」

「仕方ないですねぇ。了解です!」

本当にこの人が司令に尊敬されてるのか、と思ってしまう口調。あとでいろいろ聞こうと思ったが、無理に詮索するのはよくないと思いやめておいた。

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