第6話 執行開始

この話を今すぐ司令に伝えるべきか数十分悩んだ挙句今すぐ伝えるという判断に至った。

「えっと、この通信機器に本部に行きたい旨を伝えたらいいんだよな」

通信機器のスイッチを押して、交信を試みる。

―――――――こちら公安委員会 本人確認を行います 少々お待ちください―――――――

―――――――本人確認完了 和中隼人 クラス エンフォーサー 用件をどうぞ―――――

「本部に行きたい」

―――――――本部に承認申請をしました 申請結果返送まで少々お待ちください―――――

そこから数分後

―――――――申請結果返送されました 結果 承認 直ちにエリアジャンプを行います 待機してください―――――――

しばらくして目の前が真っ白になって気づいたときにはあの時いった公安委員会本部にいた。目の前には司令が資料に目を通していた。

「お忙しい中すみません、少し伝えたいことがあるのですが・・・」

と見るからに忙しそうな司令の逆鱗に触れないよう、恐る恐る話しかける。

「あぁ、君か。かけてくれ」

「さて用件を聞こう、と言いたいのだがあらかたなぜ君がここに来たのか見当がついている。ステージのことだろう」

「ご存じなのですか」

「当たり前だろう。君のみならず全員の執行者の事細かなデータを私は持っている。ステージのことはもちろんな」

事細か、おそらく日常生活のすべてを知られているのだろう。

「さて、ステージ エンプティ だったか。私は少なくとも聞いたことがない。君の能力の色といいステージといい謎ばかりだな。ステージ エンプティ 直訳して考えればステージがないということだ。これまた素質がないやつはステージ エラー と出るのだから君に素質がないということはない」

「・・・君にはいち早く任務に出てもらおう。何か収穫があるかもしれない。今日未完の任務があったはずだ。それを送っておこう」

「はあ、わかりました」

「では、健闘を祈る」

と同時に目の前が真っ白になり家にワープした。ワープ後しばらくして

―――――新着の任務があります 任務地点に向かい任務を執行してくださいーーーーーー

「・・・エリアジャンプ コード ミッションポイント」

―――――エリアジャンプを行いますーーーーーーー

恒例の白い光に包まれてワープした先は見たことない場所だった。

「インフォメーション」

――――執行者デバイス起動 執行に関する情報を表示します―――――

目の前に表示された地図を見る限り郊外、少なくとも自分の家はそう近くないところということが分かった。任務は国家反逆を企てている組織レクイエムの地方支部を弾圧せよ、という内容だった。

任務ランクⅡ、任務ランクの最大はⅦ。つまりそう難しくない難易度だということ。任務の詳細を確認していると聞きなじみのある声が聞こえた。

「お、来ましたか」

俺より前にここに来ており、周りの様子の確認をしていたそうだ。

「今回の任務は国家反逆組織レクイエムの地方支部の弾圧です。反逆を未然に防げ との通達が入っています」

「レクイエム・・・どんな組織なんだ」

「詳しいことは知りませんが、人の道を外れたことをする組織だそうです。組織の目的のためならば、平気で犯罪を起こす。そんな感じです。国家へ反逆する理由は未だ不明だそうです」

「なるほど、わかった」

「・・・支部はここから五十メートルほど先にある廃ビルか」

「早速向かいましょう」

五十メートルほど先に進んであった廃ビル

「インフォメーション」

――――執行者デバイス起動 執行に関する情報を表示します―――――

地図で任務地点を確認するため執行者デバイスを起動する。

「うん、ここで間違いないな」

「汎用型近接武器 起動」

と葦名が何やら槍のようなものを取り出した。

「葦名、なんだそれ」

「これは汎用型の槍型武器です。自分の中にあるエクシード・フォースの一部の情報を書き換え特定の用法に力の種類を変換して使います。あなたの能力が開放できるまで私がこの武器であなたを助けます」

「最近の技術はすごいな」

「表には出ていませんので、知る術もありませんよ」

「さて、任務を執行しましょう」

「あぁ、行こう」

俺のエージェンシー、リボルバーを握って敵地へと足を動かした。

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