第10話 二人がいいの
気づいたときには、自分にそっくりなのに雰囲気の違う姉に恋をしていた。
姉は大人しくて頼りがいがあって優しい。派手なことをせず、清潔感のある人だ。
物腰が柔らかくて、小さな頃から今までずっと、目一杯私に愛情を注いでくれた。
そんなだから、私はめっきり甘えん坊になって、お姉ちゃんと似ているのは顔だけになった。わがままで卑屈だった。それではいけない、お姉ちゃんに好きになってもらえなくなると一念発起して、私は唯一の取り柄である容姿を武器に、雑誌モデルになった。
「あ、今日現場同じだったんだー!」
私を見つけるなり背中に覆い被さるように抱きついてきた金髪の美少女は、私の秘密の恋人である。同じく雑誌モデルだ。秘密って言っても職場では隠しているだけで、お姉ちゃんや友達の一部は関係を知っている。お姉ちゃんを諦めるために一役買ってくれた私の恩人だ。
「ぐぇ。重いよ香織・・・。」
「さっさと離れなさいってば。」
そう。私は香織に対してはツンデレだ。なんでって、
大好きだから。
お姉ちゃんには素直に甘えられるんだけど、私は香織に甘えるモードになるまでに一度ツンデレ山を登らなければならない。なんでだろう?恥ずかしいからかな。
今日の香織は金髪、クリーム色の薄手のトレーナー、そして生足にショートパンツ。リュックを背負っていてこどもみたいで可愛い。
付き合う前から体の関係を持っていた。でもお互いが好きだと言い合ってからというもの、私は改めて彼女に恋をしてしまっている。
足に、太ももに目が行っちゃう。。
健康的でさすがモデルって感じの見た目なんだけど、私にはエロく見えてる。
(あ、キスしたい。もっとスキンシップしたい。)
気づいてしまうと元来わがままな私はダメなんです。我慢ができない。でも私はまだツンデレ山の5合目くらいにいる。
「もー、冷たいなぁ。笑」
香織は私のツンに意に介さずといった感じで、よいしょっとリュックを椅子にひっかけて私の隣に座った。距離が少し離れて私は益々もどかしくなる。
「ね、今日仕事終わったらあやえちゃん達とご飯行くって話なんだけど、萌も行くでしょ?」
いつもなら「行く」って言えるかも知れないけど、私は今日終わったら香織と二人になりたかった。
「それいつ決まったの?」
「うん?さっき。誘われたー♪」
私の彼女を気安く誘わないで欲しい・・・とはまぁ、言えないか。秘密にしているし。
「じゃあ、まぁ行くけど。」
「いえーい。お好み焼きにしてほしいなぁ~。萌はなに食べたい?」
「なんでもいい。」
「あれ?機嫌悪い?」
「ううん。別に機嫌悪くない。」
嘘です、勝手に機嫌悪くなってます。もっと物理的に構って欲しくて。
「あ。そういえばさ。萌の誕生日もうすぐでしょ?妙さんと三人でお祝いする?それとも当日は妙さんと家族だけで過ごす??」
この人のこの発言は全て私への優しさ、気遣いなのがわかっている。だけど、、
「家族とはいつでもお祝いしてもらえるから。」
「そう?まぁ、萌の予定次第で良いからね。主役だかんねー♪」
・・・。
「・・・がいいの。」
「なん?聞こえなかった、なんて??」
「二人がいいの。」
「ん?誰と?なにが?」
ぐぅぅぅぅ。。。鈍いっ!
するとこの瞬間、私に神の啓示が降りた。
「山頂に着いたぞ。もうツンはやめなさい。」
大げさでしたが、つまり、そろそろ素直になろうかと。
だから私は、すっと香織の腕を持って体を近づけて、訴えるような顔をして言ってやったんだ。
「今日の帰りも誕生日も、香織とふたりがいいの。」
よし、言ってやった。ちゃんと聞いたか?そして効いたか?
「わ。・・・わあ。」
香織が身をのけ反ってグーグルさんみたいな声で驚きの声を上げた。
「なによ?」
「生きてて良かったです。」
「なんだそれは?」
「え、かわいかったんで。今。」
「彼女と二人がいいに決まってんだろ。」
「うわあ。」
「それやめて。」
「ちょっと今、少しだけハグしていい?」
「は、なに言ってんの・・・?あ、いや。違うな。いいよ。私もしたかった。」
「うわぁ。わぁ?うわぁ?萌が・・・(デレた・・・)」
ポンコツ二人はそれ以来、周りに「どんだけ仲良いんだ。笑」と言われるくらい、いつもバックハグで有名になったのだった。
【GL】二人がいいの3 シスコン萌と香織の出会い 葉っぱ @gibeon
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