第9話 あ、いいんだ?

 香織視点 ピロートーク


 私と萌が、何度目かわからなくらいになってきた、恋人のすることをして同じベッドで寝ているときに、萌がこんなことを言い出したんだ。


「ねー聞いてよ-ぉ」


「なによ?」


 ちょっと怒った風な萌のおでこに、ちゅっちゅっと連打でキスをして、機嫌を直そうとした。ぷにゅーっと音がしそうな顔をして可愛い。


「あのね、昨日の夜、お姉ちゃんが彼女と電話で話しているのがわりと聞こえてたの。」


 あ、辛かったってことかな・・・。


「そんでさ。うちのお姉ちゃんって結構、好きだよとか愛してるよとか言っちゃうタイプみたいで。聞こえてるっつーの。」


 まぁ、嫌なんだろね。フンフン。


「それは嫌だったね、」

「だからぁ!私たちってそういうのなんでないのかなって。。」


 ん? んお?

 なぁにそれ?という顔をしてしまった。


「私たち、そういう甘いセリフ言い合わないじゃん。。」

「私もそういうの欲しいって言うか・・・。」


「へ? 言っていいのカナ?」


「なにそれ。普通言うでしょ?」


「ちょっと待って!」


「なに?」


「私、萌から一度も好きって言われたことなくて、、それで言わないようにしてたんだけど、。」


「え、私は香織から全然言われないから言えなかったんだけど!」


「うそ?」

「ほんと」

「ほんとに?」

「ほんとって」


 にまぁ・・・。やばい、顔がにやけるっ!


「ね、ねぇ、萌って私のこと好きなの?」


「は?聞かないとわかんないような付き合いしてる?めっちゃヤってんじゃんわたしたt・・・ふぐっ!」


 ムード台無しになる前に萌の口を片手で押さえた。


香織「ね、お願いだから、萌から好きってちゃんと言ってみてくれない?」


萌「はぁ?そんなの恥ずかしくて言えるわけない!」


香織「なんでー!ちょー意味わかんない!」


「だって、私は最初に言ってるじゃん。」


萌「んー。。あー。。まぁそうか。そうかな。そうか・・・。この話は今日は一旦保留にしようか!」


香織「やーだーよー!もう無理。聞かないと寝られない!」


萌「なんだよー!言わなきゃ良かったー!」


 ぶーっとひっくり返ってうつ伏せになって足をばたつかせる萌。そんなに恥ずかしいかな?いや、私が言ったって全然良いんだけど、、でもこんなの、聞きたいじゃん。萌の口からちゃんと!


香織「あーあー。言われたかったなーぁ」


 ハァ。とため息をついて、小さく「オヤスミ」とつぶやいて私は横を向いて寝るふりをした。このまま寝かせるなよ?そういう芸風じゃねーぞ?


萌「なんだよもー。おい!覚悟しろよ?」


 すごい不穏なセリフ吐いたな、おい。何されんだ私・・・・


「好き。わかった?」


 そっぽを向いた私の後ろから、萌は私の耳たぶを軽くつまんで、唇がつくほどに耳元でそうささやいた。


「どう?わかった?もういい?」


「・・・・」


「ちょっと?聞こえたでしょ!///」


「ハイ。」


「なんて?」


「ありがとうございます。私も好きです。。」


「ん、よろしい。これからは毎日言うのだぞ?」



 こうして、今のラブラブな私たちが完成したのだった。



「言っておくけど!私もうずっと香織だけに恋だからね!浮気すんなよ!」



「幸せすぎる!!」 

 

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