第7話 いいよ。
香織視点
萌が妙さんと元カノが一緒に居るところに遭遇したらしい。家を飛び出してまず向かった先が私のところだったのが嬉しかった。
それで、ついに私たちはセックスした。私は随分前からもう、ずっと萌としたかった。キスだけじゃ足りない。ちょっと触るだけじゃ物足りない。だけど萌はまだ妙さんが好きだから、そんな風に素直に言うことはできなかった。
それと、これが恋なのかもまだ曖昧だった。実の姉に恋をしている萌のやさぐれ具合に可愛さを感じていただけで、構ってやりたくなっただけなのかもと。
だけど、今日一目散に私に向かってきた萌。そして体を許してくれた。曖昧だった気持ちがぴょんっと一段上のステージに登ったのを感じた。
「ああ、すごい気持ちよかった。」
何度目かにそう同じ台詞を言った私を、横に寝て流し目でクスクスと笑う萌。もうわかったから、と。つい声に出してしまったんだよね、、恥ずかしい。
あのね、私聞こえてたんだよ。
最中に。私の指が、萌の中なとき。萌がきゅっと目をつぶって声を殺していたとき、、
「好き・・・。好き。」
あれって、妙さんのことじゃないね? 私だよね?
めちゃくちゃ嬉しかったんだよ。それで、
「ねぇ、萌。」
「なぁに?」
「私たち、付き合おうよ。」
「え、ええ?」
「ね、妙さんのことは好きなままでいいよ。特別なお姉さんだもん。そのまま好きでいれば良いよ。でも私と付き合お。」
「なんで・・・?それじゃおかしいじゃない。でも私は香織だって、」
「私、萌のこと好きだよ。恋みたい。」
「え?」
「だから、私といよう。お姉さんが好きな気持ちがだんだんと苦しくなくなるように一緒に居るから。」
「そんなんで、いいの?」
「うん。いいよ。」
そうして、私たちはようやく付き合い始めたんだ。まだ盗み聞きみたいにしか、萌から「好き」とは聞き出せていなかったけれど。
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