第6話 何て言えばいいの?
「うーん。香織が好きだ。」
言葉にしてみる。もちろん一人でだ。
「しっくりきたぁ!あーもー!」
セフレにすらなれてない、ちょっとキスして触るだけの友達よ?好きって、恋人になりたいって重くない?
しかも私の片思いの相談から始まった関係だし、片思い終わってないし、でも好きだし。ああ、もう。なんでこーなった?
「私がこんなん思っているなんて香織は一ミリも知らないだろうしなぁ。。」
がっくりと肩を落とし、私は自室からリビングへと、そしてキッチンへ飲み物を取りに行こうとしていた。
「あ。こんにちは。久しぶりだね。」
そこにいたのは、元カノ。私のじゃないよ。お姉ちゃんの元カノ。私の同級生だったあの子。
「え、なんで?どうしているの?」
「妙ちゃ・・・お姉さんと外で会ってたんだけどお邪魔することになって。ごめんね急に。」
「あ、いや。べつに。大丈夫だけど・・・。」
「あ、萌。ごめん、すぐ部屋に行くから。」
萌に気づいた妙がキッチンから2つのコーヒーカップを持って現れた。
ねぇ、ちょっと待って。なんで別れたのにここにいるの?意味がわからない。なんで?ねぇ。
「あ、うん。私先に部屋行く。」
「あ、うん。。」
冷たい声を出していたと思う。でも咄嗟のことで頭が回らなかったんだ。どうしよう、自分がいたたまれない。もう嫌だこんなの。なんで?より戻したの?
もう、そこにいられなくて、私は香織に「会いたい」とだけ連絡をして、バッグだけ持ってそのまま家を出た。
香織は撮影中だった。場所はスタジオでそれほど離れていない。私は時間を調節しながらそこへ迎えに行った。早く、早く、と香織だけを思った。
「ごめん、おつかれ。お待たせしましたぁ!」
いそいそとスタジオから小走りしてくれる香織を見つけて、私はやっぱり安堵した。私に今一番近い人。物理的に距離の近い人。心はどうだかわからないけれど・・・。あ、私とお姉ちゃんと同じじゃん、なんて自虐的に思いつつも、私は香織が目の前にいることに安心して、そのまま抱きついた。
「ね。今日したい。このままホテル行こう?」
もう抱かれたいと思った。このままじゃなにもかもが欠けている気がして。
「ふぇ??マジ?」
「うん。マジだよ。」
「コンビニ寄っていい?お腹空いてるんだよね~。」
いいよともダメとも言わず、そうやって受け入れてくれた香織が好きだ。断る選択肢などないみたいで嬉しい。
お互いに初めてラブホテルというものに入った。システムがわからなくて慌てたけれど、クスクスと笑いながら二人、なんとか部屋までたどり着いて、
「へぇ~!ここがうわさのー♪」
はしゃぐ香織。早くご飯食べちゃってよ。もう待てないんだからさ。すると、
「よーし。」と一言声をあげると、香織は私を思いきり抱きしめて、そのまま上に持ち上げると、よいしょよいしょと私をベッドに運んだ。そして、トスンとベッドに優しく転がされて、私は横たわった。その上に香織が覆い被さる。
じっと、顔を見る香織の表情はとても優しくて、
「なんかあった?妙さんと。」
はぁ、、お見通しなんだよね。
「うん。お姉ちゃん、前付き合ってた人を家に連れてきてて。」
「なにそれ。復活したって話?」
「ううん、わかんない。でもあそこにいたくなくて香織んとこ来た。。」
「そっか。」
優しくキスが降りてきた。にっこりと笑って、何度かキスをされると、安心してちょっと眠くなっちゃったんだけど、でももうすることは決めている。
そのまま、私たちは。何て言えばいいの?
「どうしよう。すごく気持ちよかった。」
事後に香織が私に半身乗りかかったままで言う。
私はと言うと、、そう。
「すごい。気持ちよかった・・・。」
「やばかったね?」
「うん。やばかった。」
「後でもう一回する?」
「うん、したい。」
私たち。今一番盛り上がってるところ。もう好きっていっちゃいたい。一緒に居てって。付き合ってって。
ねぇ。女の子に好きって、どうやって伝えたら良いの?
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