第4話 いいの、いいの
あれから、私は香織と仲良くなった。時間があれば二人で過ごしている。
「にゃ。それ美味しそう~。ちょっとちょーだい♪」
そんな風に私が飲んだり食べたりしているものを欲しがる香織。私はずっと姉に甘えて育ったから、こうやって逆に甘えられることがなくて慣れない。
「いいけど、自分で持ちなさいよ!」
「冷たいなぁ。そんなとこもいいんだけどさ。」
「はいはい。」
でもこうやって、いつもイライラしたような受け答えをする私に飽きもせず香織は構ってきてくれる。今の私にはそれが救いなんだとわかっていたし、きっと香織もそのつもりでうざ絡みしてくれているんだろうと気づいていた。
「あ、今日さ。萌んち泊まりに行っていい?」
香織がそう言いだしたのは、私が好きなのは誰なのか、家に行って確かめるためだったと付き合ってから聞かされた。
「なんでよ。自分の家に帰りなさいよ。」
「いやん。お泊まりしたいの!」
「いやんじゃなくて。。」
だけど押し切られて泊めることになったんだ。うちには姉も小さい妹もいるから騒がしくできないよと言って聞かせた。
「ただいまー。お母さん、友達来てるから。泊まるけどいい?」
「あら、いいわよ。早く言ってくれないからご飯の用意がないけど・・・。あらあら~、可愛い子ねぇ。」
「だいじょぶ。食べてきたから。部屋に行くねー」
そう言って、私は香織を連れて自分の部屋に行こうとした。
「あれ?友達来てんの?」
お姉ちゃんが部屋から出てきたところに出くわした。
「うん。ごめんね急で。静かにしてるからさ。」
そうやりとりして香織と二人で自分の部屋に引っ込んだ。そのとき香織は気づいたらしい。
(萌の目。この人だ。萌が好きな人。お姉ちゃんだったんだ。)
すごい美人。私だってドキドキする。さあて。問題は、私が気づいたことを萌に話すべきかどうか、、、。こっちから言ってあげたほうが相談しやすくなるよね?
「さ。で?香織、来たのはいいけどどうすんの?なにして遊ぶん?」
「うーん、とりあえず~、恋バナ?」
「は?嫌だよ。」
そりゃそうか。隣の部屋に想い人がいるんだもんね。
「ね、私気づいちゃった。萌の好きな人。」
「は?ちょっと、やめてよ?声に出さないで!」
「やっぱりそうか。聞こえたら困るんだもんね?」
「!!!!」
と、こんな感じで。私は姉が好きなことが香織にバレてしまったんだ。
シャワーをお互いに浴びて、布団を敷こうかと聞いたけれど、香織は私のベッドで二人で寝ると言い張った。狭いベッドの中で二人、
香織「ね、お姉さん。本当に綺麗な人ね。好きになっちゃうの、わかるな。」
萌「・・・そでしょ。。好きにならないでね。。」
香織「ならないけどさ。笑 でもまぁ、落ち込む気持ちがわかったからさ。良かったよ来て。」
萌「そのために来たの?ホント嫌なやつ。。でもありがとうって言うべきなのもわかる。だからありがと。。」
香織「お、素直じゃん。」
「ね、ね、抱っこしてあげるからおいでよ。」
萌「は?なに言ってんの?」
香織「代わりにならないのはわかるけどさ。あんた可愛いから。落ち込んでるのみると励ましたいって言うか。代わりにならないけど使いなよ、ここ。」
そう言って、香織は自分の胸に片手を置いて、私にここに来いと言ったんだ。私はと言うと・・・、泣いた。秒で泣いた。
「ぐすっ、うぅ~、、やめてよね。。ホントそう言うの・・・。」
「ああ、ほらぁ。すぐ泣く。おいでおいで。」
そう言って、香織が優しく私を抱きしめて、香織の胸は私の涙でぐちゃぐちゃになった。それでも香織は笑いながら優しく背中に手を回して、「よしよし」とあやしてくれた。
「いいの、いいの。今は私といれば良いの。時間が解決するよ。」
そう言われて、温かさに余計泣いた。
「私の胸、触っていいよ。キスもしていい。セックスだっていいよ?」
「ぐすっ、、何、なにを言ってるのよ・・・。」
「ホントだよ。私はできる。」
そう言って、だからといって手を出してくるわけでもなく、ニコニコと笑って香織はギュッと抱きしめて私が眠るのを見守ってくれたんだ。
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