第6夢 桜の木

ポチャン……、水の流れ落ちる音がする。

ポチャン……、体が怠い。

ポチャン……、体がふわふわしてる。

ポチャン……、このまま……ずっと。

ポチャン……、『いつまで寝てるの?』

誰…………?

私を呼んでいるのは誰なの?

音が、聞こえる。

花の香りが、する。

体が軽くなったように感じて、目を覚ます。

目を開けると桜の木が私の上に佇んでいた。


「……桜?」


ひらひらと落ちてくる花びらが頬を掠める。

不思議になって体を起こしてみると、辺り一面の闇、闇、闇……。

まるで奈落の底みたいな、そんな風景。


『おそよう、起きるのが遅かったですね』

「えっ、あ、ごめんなさい?」


話し掛けてきたのは……、私?

見た目、声、振る舞いまでもが私とそっくりな人物。

それすなわち……


「……トッ、……」

『と?』

「トッペルゲンガー!!え、私死ぬの?!」

『少しくらい落ち着いて、……馬鹿だ』

「トッペルゲンガーに馬鹿って言われたぁー!!!酷いー!!!!」



***



そんなこんなで5分後ー


「じゃあこの桜の木が私の寿命なわけか」

『うん、そうだね』


うぉい、まじかよ。

私、死ぬ原因多すぎない?

何?死の神様にでも加護受けてるの?


『即効死亡フラグ回避方法なら無いわけでも無いですけど……』

「ま・じ・で?!」

『知りたいですか?』

「知りたい!!」

『それは……』

「それは……?」


生唾を飲み込む私。

この時、私は予想していなかった。

こんなにも予想外の回答が返ってくるなんて……。


『自分の伴侶を見つけなさい』

「…………」

『自分の伴侶を見つけなさい』


2回言った……この人って、


「えええええぇぇぇぇぇぇーーー?!」


暗闇の中、響く私の声はよく響いたという。


「は、伴侶って、えぇ、ちょ待て。一旦、落ち着いて」

『落ち着くのは君の方じゃ無いかな……』


焦る私、冷静なトッペルゲンガー。

どゆこと!?

脳の処理速度が限界を超えた。


「ふあぁ、意味、不……明」

『あ、倒れた』


そして私の意識はもう1度、途切れたのであった。

私が又、この空間で起きるのは今から2時間後のことであった。

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