第3夢 神代魔法
「にしても奏は魔法を使いこなすのが早いわね、私より凄い魔術師になるんじゃないかしらね~」
「そんなこと言っている暇があったら、神代魔法を教えてよ」
神代魔法、それは神々がまだ眠りについていなかった頃。
神々が使用していたとされる魔法で、普通の魔力量だけを持っている生物では再現できない魔法。
湊華や私みたいな魔力に底がないような生物にしか神代魔法は再現できない。
私も湊華に言われるまでは、こんな魔力量があるなんて知らなかった。
まるでゲームの世界みたいな……あれ?
げーむってなんだろう?
「奏」
「ん?どうしたの?」
「これまで家事とか色々なこと頑張ってくれたから御褒美として、特別に神代魔法を教えてあげるわね」
「え、ほ……本当?!」
「ええ、本当よ」
神代魔法をついに覚えられる!
これまで神代魔法以外は、全て湊華に叩き込まれた。
神代魔法を使えれば湊華の役に立てるかもしれない、そんな期待で私の胸は一杯だった。
転移魔法で異空間の高原へ移動する。
この異空間は私が作ったもので、魔法の特訓に使用している。
現実だと人間に怖がられるから、この異空間でいつも魔法の特訓をしている。
湊華が私の1歩前に出る。
「奏、よ~く見てなさい」
そう言って湊華は手を空へと伸ばす。
「これなるは数多の罪、我々が背負うべき業。だが今、封印されし力を解放する」
空が曇り、風が荒れ狂う。
これが、神代魔法の詠唱……。
「神よ、この一時だけ我々を赦したまえ」
そう言って手を正面へと向ける。
「我が研鑽を今、示そう!」
そう言い放った瞬間、目の前の山1つ全てが黒い何かに呑み込まれた。
これが1つ限りの、神代魔法……。
湊華が私の方へ振り向く。
「どうだった?詠唱は無詠唱でも良いけど、イメージがしっかりしていないと駄目だから気をつけてね?」
「……」
「?どうしたの、奏?」
「えっ、ううん。なんでもない」
これは応用したらもっと威力が出そうだ。
楽しくなってきたな。
そんなことを考えていたら湊華の腹の虫がなった。
「お腹空いたわ~、奏」
「そうだね、じゃあ今日は神代魔法を教えてくれたしオムライスでも作ろうかな」
「あ!やったわぁ!早く帰りましょう!早く奏のオムライスが食べたいわ!」
「ふふっ、そうだね。帰ろっか」
そうして作った異空間から出ていく。
呑み込まれた所は、後で修復しないと……。
にしても、今日は嫌な予感がするな。
そんなことを思いながらも私達は、2人だけの小さな家に帰っていった。
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