第9話
侵略者の来訪から3日が経つが
あの一件以降は来ていない
あの一件で行方不明になっている者や燃えた者や
侵入者によって殺された者たちは
学園に居る元ヒーロー達や事務員達によって
集められ身元を確認し国に死亡届けが提出された
国は多くの犠牲者を弔う事を公表し
学園内で多くの人々を集めて葬式と通夜を行い
犠牲者となった者達の中で
様々な理由で受け取り辞退された者達は
国が引き取り学園内に建設した追悼塔に埋葬された
その追悼塔には神殿での事件により
安否の確認が出来なかった者達や
誠の名前も刻まれている
「‥悪かった」
追悼塔に書かれる誠の名前を見ながら
思わず呟いてしまった
学園の中心にある追悼塔を後にして
俺は部屋に戻りカレンダーを見る
「そう言えば‥本当なら今日が
国の決めたタッグ選定の日だったよな」
そんな事を思いながら眺めていた時だった
寮内にサイレン音が鳴り響く
「侵入者の合図!!」
俺は慌てながらも再び外に出て
神殿前にある広場にと向かう
グチャグチャに殺害された
大切な仲間だった人は既に息絶えており
泣いている暇さえなく
倒しても倒しても
減らない侵入者の数
多数の侵入者達を相手にしていた
ーーどうしてこうなっているのか?
遡る事30分前の事
俺を含めて侵入者を告げるサイレン音に
多くのタッグ達が広場にと集まっていた
「今回、侵入者達は国会議事堂の近くの
上空に来訪すると予測されている
数は確認が出来ているだけでも数百体が
こちらに攻め込んでいる事も確認できた」
「‥数百体も‥」
「大災害のレベルですね」
「国会近くに居た人や住人達の避難は
我々に任せて欲しい‥既に何体かは
こちらに来ている模様」
「‥了解です‥行ってきます」
「ああ‥頼んだ」
タッグ達を管理する人達の号令を合図に
各タッグ達は国会議事堂の近くに向かう
俺も眼鏡を外し
支給されているバッグを持って龍鬼と共に
今回は国会議事堂の屋根上にと位置取りする
しばらくすると街中にサイレン音が響き渡り
侵入者がレッドゾーンに来た事を知らせる
「‥来たのか‥早いな」
「さっさとやるぞ」
「ああ‥頼んだ龍鬼」
「お前もな」
そう言いながら俺に手を差し出して
龍鬼は俺の頭の中で創造した武器に変化する
[此処からでもいけるのか?]
「‥誰に聴いてんだよ」
そう言いながら俺は確実に
レッドゾーンに居た敵を撃ち抜いた
レッドゾーンからグリーンゾーンへと
急落下して来る敵は他の奴らが殺していく
しかし数が多すぎて敵と相打ちとなり
落下していく者が見えたり
バラバラになり殺されてしまっているのが
見えてしまった
「‥っ!」
殺された奴の仇を取りながら
間髪を入れずに敵を撃ち抜いていく
目を酷使するせいか呼吸が荒くなり始めた
此処で倒れる訳にもいかない
仕方なくレッドゾーンで仕留める事は諦め
眼鏡をかけてイエローゾーン内にと変更する
グチャグチャにされた死体が
再び下に落下する
殺しても殺しても終わらない
ーーあ
眼鏡越しでも見えてしまった
「‥神戸先輩と‥月城先輩が‥」
侵入者と相対し疲れが出たのだろうか?
不意を突かれて2人の体が
血に染まる姿が見えてしまった
ダメだ‥早くあいつらを殺さないと
先輩の分までっ‥早く!
俺は2人を殺した侵入者を撃ち抜いた
ふと上から落ちる2人の姿は
俺に笑いかけているような気がした
‥泣くな‥泣いている時ではない
まだ何十体もの侵入者が残っているんだ
やらなければ‥俺達も殺されて国も滅んでしまう
終わりの見えない侵入者との戦いは深夜まで続き
生き残ったのは僅か4名となったのであった‥
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