第4話

何故、優哉の親友である影野誠が

生還者リストから消されてしまったのか?


ーー時はタッグ選定儀式前まで遡る


全員の最終点検も終えて神殿の扉は閉ざされた


神殿の中に集まっているのは

タッグを組めていない者達のみだ


「‥緊張するな」


「‥ああ‥そう言えばさ

先生が‥頑張れよって」


「本当か?なんだよ‥優哉

少し変な顔だな?どうしたんだよ」


「‥いや‥なんか変な言葉を言われたからさ」


「変な言葉って‥」


そう誠が尋ねる前に儀式の始まりを告げる鐘が鳴る


音が鳴り始めたら儀式の開始の合図なのだ


各々が集中してタッグ組み合わせ儀式の

決まった呪文を復唱し始める


[世界を見届けし我らが神よ


我らが世界を守る為に


悪に裁きし力を与えし神に祈りを


全ては神の示す導きのままに]


ーーバキッ


謎の音と同時に呪文を唱え現れ出した眩しい光


しかし光を喰らうかのように

黒いモヤのようなのが音と共に強くなる


呪文を続けていると何故か

強い力に抑えつけられる感覚が増していく


その力に耐えられなくなったのかもしれないが

呪文を続けられなくなった者達が多くなり

多く聴こえていた呪文の声は少なくなり

"呪文の音"でなく"悲鳴のような声"に支配され始める


何が起こっているかは眩しくて見えないし


謎の力が強すぎて動く事すらも出来ない


けれど


今は、呪文を続けなくてはいけない


そう思いながら俺は呪文を唱え続ける


[我に才と力を与えし者よ


世界の平穏のために


我が声に応え我が友を示したまえ!]


全ての呪文が終えた途端に俺は気絶した


ーー再び目覚めた時に見えたのは


血の海となる神殿内に


1つ1つ2人を囲むように倒れる多くの人達が6つ


そして必死そうに呼びかける会長の声だった‥


血を流し倒れている人達の中心で

俺も倒れる男性も眠っていたみたいだ


その内の1つの輪の中で今も

先に目覚めていた会長が共に近くに倒れる隼人を

呼びかけて起こしている


俺も自分の近くに倒れている男性を起こそうと

倒れていた男性を見る


それは知っている奴だった


何故なら俺の近くで倒れていたのは

[鬼の龍]と呼ばれていた新堂龍鬼だったからだ‥


「おい!大丈夫か?」


そう叫びながら彼を何回か揺さぶると

彼は、ゆっくり目を覚ました


「‥あ?なんだよ‥」


「‥良かった‥お前"は"生きてたんだな」


「は?どういう事だよ‥」


「周りを見ろ‥俺達を囲む人達は死んでるみたいだ」


「はぁ?‥マジかよ‥」


「そうだ!誠!!」


そう思い周りを見渡すが見当たらない


俺が、かけていた眼鏡は俺の近くでバラバラとなり

壊れてしまっていた


「おいっ!新堂

とりあえず他の囲まれている奴は無事かもしれない

目覚めてない奴を起こすぞ」


「ああ‥分かってるよ!」


そう言い俺達は共に

囲まれて寝ていた他の奴を起こしにいく


血の海と成り立てた死者の輪の中心で

倒れていた俺を含む8人の全員が起きて集まる


「‥一体‥どうなっているんだ」


「他の人達は‥生きてねぇのか?」


「‥うん‥念の為に息も確認して

僕の才で1度、試したけど

生き返らなかったから‥無理だろうね

[幽幻道士ネクロマンサー]の力なら

生き返すは無理でも起こす事なら

出来るんだろうけど‥」


「‥それは可哀想だから諦めよう

まずは神殿の中にあるタッグ決定リストを見よう

皆も‥それで良いだろうか?」


そう会長の言葉に全員が頷き

神像の下にある紙を見てみる


そこには8名の名前のみしか書かれていなかった


「‥私の名前の隣には渡来隼人‥君の名前がある

‥つまり死者の輪の中に

囲まれていた2人1組でタッグなのだろう」


「そのリストの先に書かれているのがアタッカーで

次に書かれているのがサポーターか?

なら私はアタッカーで側に居た彼が

サポーターと言う事か」


「‥そう‥なりますね

とりあえず‥先生が来る前に

自己紹介しておきませんか?

そして此処を1通り調べてから出る

‥途中で出たモヤみたいなのも気になりますし

疑問が残る事が多いですから」


「‥そうだね‥僕は構わないよ」


「私も構わない」


「‥大丈夫です」


「君達も構わないだろうか?」


そう会長に尋ねられたので頷いた


儀式で起こった事


何故か死んだ人達の事など


疑問が残りながらも生き残った俺達は

血の海と成り立てた死体の多い神殿内で

自己紹介を始めるのであった‥

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