第3話

俺達は先生に引率されて

神殿の前にある大きな広場にと皆が集まっていた


本来なら4日後に行われる筈だった[タッグ組み合わせ]は育成などを踏まえて国が

参加する者を厳選して行われる筈の儀式なのだが‥


緊急事態の影響からか多くの者達で賑わっていた


その中には‥


「おい‥アレ見ろよ‥"鬼の龍"だぜ

同級生だが同じクラスじゃなくて良かったぜ」


「だな‥うわっ‥こっちを睨んでるぜ‥こわっ‥

アイツとタッグを組む奴は誰になるんだろうな」


「それを言うなら"生徒会長"もだろう?

[名声王]の力で圧倒的な実力を示し

1年で会長になってアタッカーの実技ではトップ

あの会長のサポーターとか無理だろ」


「それを言うなら"神子みこ"もだろ?

圧倒的な実力でサポーターの実技でトップ

もし会長と組むならアイツぐらいか?」


「そういえば‥"神子"ってさ

同じ学年に兄貴が居るらしいけれど

落ちこぼれらしいぜ」


「‥弟が目立って辛いだろうな

此処に居るのか?」


「さぁな‥」


神殿に集まった奴らの雑談が俺の所に聞こえ出す


誠も聞こえていたのか俺に


「大丈夫か?」


「平気だよ」


そう誠に対して明るく返すも俺は

神殿に居るだろう弟である隼人を見つけた


[神子]なんて通り名で呼ばれている俺の弟の隼人と

比べられる事なんて昔からの事だ


隼人を見てみると同じクラスの連中と

色々と話をしているようだ


神殿前が先程よりも騒がしくなり始めた頃


「皆、集まってくれてありがとう

今から各自、持ち物を預かって

儀式を始めたいと思う

近くに居る教師達か事務員達に

携帯などの備品とか大切な物は渡すように」


そう広場にある壇上に上がった者が告げ

周りに居た者達が持ち物を回収し始め出した


選定の儀式の際に不純物があると

失敗しやすいらしく携帯などは集められている


「すいません!眼鏡がないと

何も見えないんですけれど眼鏡は大丈夫ですか?」


そう眼鏡をかけている生徒が

広場の壇上に居る者に尋ねる


「私も昔にタッグ選定の際には

眼鏡を掛けていたから大丈夫だ」


「良かった〜」


その声以外には質問もなく騒がしい広場の中で

周りに居た回収班が俺の所にと来た


「携帯または金属は此処に入れてください」


俺は持って来ていた携帯と

手につけていた金属を袋に入れる


「‥ん?貴方の眼鏡‥」


「何ですか?眼鏡は良いんですよね?

金属は全て出したので早く行ってください」


「‥ああ‥すいません」


全ての回収が終えたのを確認したのか

壇上に居る者が


「それでは今から神殿にてタッグ選定を始める!」


そう告げると神殿の扉が開かれて

神殿の扉前に居た者から順番に入って行く


最後に、もう1度だけ

不純物がないか持ち物検査を扉前で行う


男女が分かれて1列となり

順に入って行くのが決まりだからだ


俺は誠の後ろにと並び中に入る順番を待って

進んでいくと検査官が担任の市川先生だった


「影野か‥本当にいいのか?」


「何を言ってんだよ先生

行かないで後悔したくないんだよ俺は

それに後ろの優哉とタッグを組む予定なんだ

俺は先生を超えるヒーローになるからな?

絶対に覚悟してろよ!」


「‥そうか‥大丈夫だ

ほら、先に行け」


「なんだよ‥素っ気ないな‥」


少し不貞腐れながらも

誠は先に神殿内にと入って行く


「次は‥渡来か」


「どうしたんだよ先生」


先生はチェックしながら少し辛そうな顔をしていた


「‥アイツに伝えておいてくれ

‥期待しているからな‥ってな

俺みたいなのでもアイツから

見たらヒーローだったんだな

アイツに言えなかったから

渡来から始まる前に伝えてくれるか?」


「仕方ないな」


「‥お前は大丈夫だろうけど


「‥っ‥おいっ!‥どういう事だよ!!」


そう問い詰めようとしたけれど

検査も終え市川先生に神殿の中にと背中を押された


全ての検査が終えて神殿の扉が閉ざされた


先生の言葉の意味を"知った"のは


否、してしまったのは


儀式を終えた時だった


全てを終えて


神殿からタッグとなり出たのは


8


つまり4のだ


国が後日、と書かれたを公表した


その中に


彼の親友である誠の名は消されたのだった‥‥

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