第2話

「最近妙な姿の奴を見るんだ」


4日前、中学の時からの友人である森田が僕に言った。


「妙な姿?」


僕は当然聞き返した。


「お前さ、自分の首左右に振ってみてくれないか?」


「首?こうか?」


僕はNOをするときのように首を振った。


「いや、そうじゃない。なんていうか、首をかしげるみたいに」


僕は森田の指示の意味がわからないまま首をかしげた。


「そんなかんじ、それを自分が可能な限り速い速度でやってみてくれ」


僕は言われるがまま首を振った。


「もっと、もっと速く!」


「首が痛いわ!いい加減にしてくれ!こんなことやらせてなんなんだ!?」


僕は森田を睨みつけた。森田は不安そうな顔をして続けた。


「…最近、妙な奴を見かけるんだ。そいつは、今お前にやってもらったみたいな感じで首を振ってるんだ。買い物に行ったとき、友達と遊んでるとき、場所も時間も関係なく、気づいたら視界の隅にいるんだ…」


「首を…振る…?」


森田の話を聞いて、記憶の底に眠っていた景色が蘇ってきた。


「森田…、変なこと聞くけどさ、そいつって髪…長いか?」


僕が呟くと森田はとても驚いた様子だった。


「お前も見たのか!?あいつを知ってるのか!?」


森田は泣きそうな顔で僕の襟を掴みかかった。


僕は森田に去年見た存在のことを話した。

森田は黙って聞いていたが、僕が話し終えるとゆっくりと口を開いた。


「同じやつだ…」

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