第38話 真実か欺瞞か


「なんだろう?」


 タクミはそう呟きながらも、身構える。その一方でレイカは少しだけ不審の色を浮かべて眉をひそめた。


 レイカの耳は——女性の助けを求める悲鳴の中に、微かに欺瞞の音を感じたのだ。


 しかしそれを伝えるよりも早く、タクミは声の主を助けようと草原に飛び込んだ。


「危ない!」


 草むらに踏み込んだタクミに、すぐさま真っ黒な蛇が飛びかかる。レイカの長槍が空気を裂いて飛び、その頭を貫いて地に刺さる。


 大地に頭を縫い付けられた大蛇は、それでも長い体をうねらせて苦悶に悶えた。


 タクミも素早く腰の銃を手に取り、構える。今朝からは常に風属性の蛍石を数個装填してあり、いつでも撃てるのだ。


 幸い、マンバには出くわさずに悲鳴が発せられた森の前に到着する。少し遅れて長槍を回収したレイカがやって来た。


 そこへ再び、悲鳴が響き渡った。


 二人は顔を見合わせると、頷き合いそれぞれの武器を構える。緊張に喉を鳴らしながら、何がいるかわからない森の中へと踏み込んだ。




 つづく

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