第21話 見つかった!


 腹を踏み潰された河馬かばは、横たわったまま細かく痙攣しているが、もはや立ち上がる事も叶わず、ただ生命が消えていく運命に従っているかのよう。


 勝者のサイは頭を激しく振って、己の力を誇示していた。その荒い鼻息が突然止まる。


 いや、息遣いが変わったのだ。


 不審に思った二人が、そっと木陰から窺うと——その血濡れた目と目が合った。


「タクミ、走れ!」


 レイカに背中を押されて、タクミはその方向へ走り出す。地響きが始まり、自分へ向かって来るのが感じられた。


 ——レイカは?


 あの巨体とやり合うのは怖いが、タクミはレイカを心配して振り返る。彼が目にしたのは、長槍を構えて犀の正面に立ち塞がるレイカの勇ましい姿だった。





つづく

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