春の知らせ (洪水、鞄、飛ぶ)

 人が人に流されていく。それを自然災害というなら洪水だろう。だが、人工的に作られたソレに、敢えて呑まれに行っている人間達。一体何が目的なのだろうか。

 だが、その災害を見ていても流される表情は明るい。暖かい日差しが出始めている今日この頃。

 綺麗なスーツに綺麗な靴、綺麗な鞄、そして綺麗な姿勢。まるで人間であるのを楽しんでいるようにも思える。

 飛べない人類をこの日は羨ましいと思うのだ。こんなに明るい表情をしていて楽しくないわけがないのだから。

 そういえば、僕もそろそろ巣作りに励まなければいけないな。おっとその前にパートナーを探さなければ。

 どうやら、僕の身の方が危険らしい。一人身、いや、一鳥身のでは寂しいからね。

 翼を広げて僕は飛んだ。

 「あ!鳥さん!」

 「うわー。珍しい。こんな所にヒバリなんて。」

 そう言って僕らを見る。どうやら僕は人間にはモテるらしい。

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長針の動く間に ななし @mojide_

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