家政婦 (メロン、家主、ベル)

 メロンを貪っていた。

 メロンを半分に切った後は、そのまま。

 なんとも言えない背徳感。癖になりそうだった。

 聞けば、このメロンは最高級のモノらしい。

 するとベルがなる。誰か来たようだ。珍しい。こんな時間に。

 インターフォンを確認すると家主であった。帰ってくるのは、明日のはず。

 まずい。そう思うがもう遅かった。ドアを開けないのも怪しまれる為、投げるように出した器具とメロンを隠して玄関へ向かう。

 「お帰りなさい。早かったですね。」

 「ドタキャンだよ。最悪だ。腹減った。例のメロンカットしてくれ。」

 心臓がドキッとした。すでにそのメロンはもうない。代わりにスーパーで売っているメロンを出すしかなかった。

 震えた腕で、皿に盛り付けメロンを家主の前に出す。

 「美味い。流石は高級メロン。」

 そう言えば、彼は分からない人間だった。

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