第67話 トレカの勉強と秋葉原
『ハロー!ヨーチューブ!!今回は先月に復刻発売された
東京の住居の方では既にインターネット回線も敷かれ、家中のあらゆる場所でネットを楽しむことが出来るようになっていた。
広々としたリビングには、ハキハキとした様子で喋る若い男性の声が聞こえる。その発生源は晶さんから勧められて購入した薄型のノートPCのスピーカーからで、パソコンの画面にはまるでアスフィアル世界の住人かと思うほど派手な髪色をしたサングラスを掛けた男性が一方的に喋っており、俺は今その動画を見ながらクロスワールドについて勉強をしていた。
『まずはじめに”王の晩餐”は
見た目はおちゃらけた姿ではあるが、パソコンの画面に表示されている男性の動画は丁寧な作りであり、解説と同時に禁止や制限を課されているカードの一覧を表示してくれる。
『特にヤバイのが ”バイオ生命体・アト”だ!、こいつは次のターンに必ず破壊されるが、4コストで自分側のフィールドに存在するもしくは手札のカードの中から選択して、その選択したカードとして扱う、とかいうトンデモ能力を持っているぜ!勿論、大会ではこいつを入れるプレイヤーが後を絶たずに第二弾以降のレギュレーションではずっと禁止にされている殿堂入りした禁止カードだ!!』
「レギュレーションか・・・・・・これも決めておかないとな」
アスフィアルの世界でトレカのルールを制定出来るのは現状俺だけだ。そうなると今まで決められてきた制限や禁止カードの選定も俺がやらないといけないわけで、流行の兆しを見せている間に周知に知らせる必要がある。
「次の品卸でクロスワールドやその他トレカのルールやレギュレーションを書いた張り紙を用意して、学生寮に貼ってもらうか、たしかにこれは俺がやらないと行けない仕事だな」
一応、それら細かなレギュレーションが書かれたルール本も売ってはいるが、全員が購入してくれる訳じゃない。
広く普及させるためにも、ルールの周知やバランスの良い環境にするためにもレギュレーションは必要になってくるだろう。
(・・・・・・まぁ、俺が色々考えなくても既にレギュレーションは定められているし、それに沿ってやるか)
新たにやることを見つけつつ、俺はトレカの勉強を続けた。
「一度、ちゃんとした対戦見てみたいなー」
カチカチとマウスを動かして、東京周辺で開催されるクロスワールドの大会を調べていた。
アスフィアル世界でトレカを流行らすためにはカードの普及も大切だと思うが、それ以外にもイベントを開催するのも大切だと同時に感じていた。
まだアスフィアル世界のトレカ業界は始まったばかりであり、大会なんぞ開けるほど土壌が整っている訳じゃないが、目的というのは大事だと思っている。
別に大会じゃなくても初心者講座や交流会を開いても良い、既に存在するコミュニティー内でやるのもいいだろうが、公式イベントとなれば新たな交流だって生まれるかもしれない。
だからこそ、俺は一度実際に公式大会やそれらイベントを見学してみたいと思っていた。会場の設営はどうなのか、大会進行はどうやっているのか・・・・・・といった具合に、1プレイヤーとして勉強するのは勿論、大会責任者としての目線でも見てみたい考えていた。
「お、今週末にあるのか・・・・・・丁度いいな」
そう考えながらパソコンを操作していくと、秋葉原のカードショップで公式大会では無いものの、それなりに規模の大きいコミュニティ大会が開催されるそうだった。
開催日は土日の二日間に渡って行われるようで、土曜日は予選、日曜日は本選となっており、土曜日は王都露店祭で行くことは出来ないが次の日の日曜日であれば見学することが出来そうだった。
「凄いな、100人規模の大会なのか」
様々あるトレカの大会の多くは16人から32人規模の大会が殆どだったが、今回俺が見つけたのは定員が128人の結構規模の大きな大会になっていた。
「へぇ、有名な人が解説として参加するんだ」
その大会のサイトを見てみれば、俺が先程まで見ていた動画配信サイト ”ヨーチューブ” で活動している有名な人物が実況解説として参加するみたいだ。
「アキバにはカードショップが沢山あるし、市場調査も兼ねて行ってみるのもいいな、いや・・・・・・行くべきか」
SNSでも調べてみると、俺が見つけた大会は結構な盛り上がりを見せているようで、当日はインターネット上でもライブ配信が行われるそうで、実況解説の人以外にも公式大会で上位入賞した事のある猛者が参加するそうだ。
そして開催場所は有名な大手カードショップであり、周辺にはトレカ関連の商品を扱っているお店が多く存在した。
大会を見学するついでに秋葉原のカードショップを巡ってみてもいいな、と思い俺は今週末に秋葉原へ行くことに決めた。
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