第46話 魔力の特性
西王寺本家と分家はある意味運命共同体というべきか、繁栄する時も衰亡する時も運命を共にする間柄だそうだ。
互いがライバル視をしている間柄ではあるものの、基本的には互いで協力しあって西王寺グループという巨大企業を運営している。
「本家も分家も、資産規模や影響力で言えばそこまで変わりません、この2つの家の違いはただ直系か傍系という部分だけなのです」
様々な業界へ手を伸ばしている西王寺グループは本家、分家ごとにそれぞれ管理する仕事が違うのだという。
「龍幻様は自動車産業や不動産、IT関係などを経営しております・・・・・・一方で西王寺グループの副会長であられる汪海様は遺伝子研究といった先端技術産業を主に経営しているのです」
「つまり、Leaf研究所は・・・・・・」
「はい、Leaf研究所を筆頭に、西王寺グループが保有するバイオテクノロジー関連の研究施設に関してはほぼ汪海様が指揮されているのです」
だから、龍幻会長の娘である西王寺はLeaf研究所に
本家と分家による権力争い・・・・・・巷では龍幻会長も汪海副会長も仲が良い従兄弟という事になっているそうだが、内部の事情をしる人達からすれば日夜権力闘争を繰り広げているのだという。
・・・・・・そして、今現在の主戦場は俺が龍幻会長に齎した異世界の不思議物質、及びにムーンゲートの先に存在するアスフィアル世界関連だという。
「既に龍幻様も汪海様もアスフィアル世界に関連する会社を多く設立しております。ですが、最先端技術ということもあって当分は汪海様陣営が優勢だろうと、龍幻様は仰っしゃられておりました」
俺が何気なしに交渉した異世界のアイテムは、既に数百~数千億規模の計画が存在するらしい。
既に魔素を初めとした魔力を観測するための装置研究に莫大な資金が投資されているそうで、少しずつではあるものの、西王寺グループ以外にもこの異様な資金の投入を察知して様々な人達が動いているのだという。
・・・・・・供給元が俺一人なんだけど、大丈夫なんだろうか?
簡単に言うと、今の西王寺グループは本家と分家の2つに別れて新たな開拓先である異世界産業の主権を得る為に、今までに無い程に激しい権力争いが繰り広げられているそうだ。
その様子はまるで綱引きの様に一進一退を続けているそうで、既に何十億という資金が注ぎ込まれているのだという。
その影響は投資家を初めとした経済に目敏い人であれば既に気がついているようで、公の場に異世界産業がバレるのも時間の問題だという。
そんな中、俺は闇市に売られているエルフを口説くためにポーションを作ろうとしている訳で、龍幻会長や晶さんがこの権力争いから遠ざけてくれていたとはいえ、己の呑気さに恥ずかしくなった。
「ただ場所を赤根村に選んだのは良かったと思います。閉ざされた村社会であれば、情報統制もしやすいので」
「・・・・・・村の人達を不安にさせることは止めてくださいね?」
西王寺グループの本家と分家についてある程度説明を終えた晶さんは、何やら不穏なことを語った。
これも、俺が西王寺グループの内情をある程度知ったからなのだろうか?
・・・・・・とりあえず、以前のように村の人達を不安にさせるような事をしないように俺はお願いした。
「私も試してみたけど、やっぱり
「ただ魔力を浴びせるだけじゃ駄目、ってことか」
「・・・・・・ただ魔力を浴びせるだけで、紫ポーションが作製出来る程の薬草が人工栽培出来るなら、長い歴史の中で既に誰かしら見つけて居たでしょう。そうだとしらた魔力の特性、なのかしら?」
晶さんから西王寺グループの本家と分家の話を聞いた後、俺は赤根村に
期限は一ヶ月、王都闇市での紫ポーションの需要を鑑みた結果、とりあえず栽培してみようということになっている。
・・・・・・本来の目的である赤ポーションの作製やエルフの奴隷を購入することはまだ伝えていない。
一方で、晶さんから聞いた西王寺家にまつわる複雑な事情を知ったことも同時に伝えてある。ただ当の本人はそう、と短く返事をしただけで特に気にした様子はなさそうだ。
コチラの世界から出来ることは殆どない・・・・・・ある意味諦めにも近い割り切りだった。
寧ろ、これら実家の権力闘争よりも彼女が今一番に興味を惹いているのは、ただの薔薇を
「番外属性を帯びている訳じゃないし・・・・・・未確認の属性?それとも貴方の
「それは分からん、俺も初めて知ったし」
これらを使えば、未だ安定した供給が出来ていない上位ポーションの大量製造が可能になるだろうし、そうなれば将来性は勿論、莫大な利益が望めるはずだ。
そんな俗物的な考えの俺と違い、西王寺はこの
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