第18話  冒険者登録

これは、港湾都市国家ポルダムのギルドで冒険者登録をしようとした時の話


受付カウンターで簡単な書類への記入が終わったあと。


個人情報保護のために別室への移動を促されたので受付嬢についていく。


服脱ぐのかなぁ~などと身体検査ぽく考えていると、トイレの個室のようなサイズの


部屋に入れられる。中には椅子があるのでそれに座ると目の前の小窓が空いて、


受付嬢が目の前に現れる。



「それでは、ステータスをチェックしますので椅子の手すりにそれぞれの手を置いてください。この窓が閉まったら正面にありますxのマークを見ていてくださいね。」


言われたとおりにすると、窓が閉まり室内の明かりが少し暗くなり耳元から彼女の声


が聞こえてくる。



「椅子の手すりに金属の部分があるから、それに軽く触れていてね。無属性の魔力を


流して、まずあなたの魔力を測るから。」



ピリッとした感覚が金属の冷たい肌触りから伝わり体内を駆け巡る。それと同時に


別室から驚愕の声が聞こえる。



「えっえっどうなってるの・・・。」


「ロランド、システムを止めて。」


「だめだ、間に合わない。」


「バカな、あんな子供が。」



眼の前の窓が開き、受付嬢が驚きに満ちた顔でこちらを見ている。



「あなた、何者っていうか手を離して。」


「何者と言われても・・・。」


 

なんだか、大事になってる模様。なんか体の中を巡る感覚がくすぐったかったと


思えばこれだよ。部屋のドアが慌ただしく開けられて、引っ張り出される。


隣の部屋に連れ込まれて、そこにある椅子に座らせられる。この部屋には


受付嬢以外にもエルフの女性が1名と屈強な中年の男性が1名いた。


エルフの女性は頭を抱えていて、目と耳から出血している。



「おまえさん何をした、場合によってはこのまま返すわけにはいかないぞ。」


「えっと、座ってただけですけど。それがなにか?。」



なんのことかがわからないので、説明を求めたらおっさんは部屋の奥のデスクに


向かい窓を背中にして席に座った。そして、机の上のボードをこちらに向けた。


おっさんは、自らをギルドマスターだと言った。エルフの女性は各ギルドにいる


冒険者登録管理官で、新規にギルドに登録する冒険者のステータスを記録し

ルドネットワークにアップロードする手続きを行っているそうだ。



「このボードには君のステータスが表示される・・・はずだった。」


「だった?。」


「見たまえ、この数字をHP/MP/SPの数字がいずれも50,000を超えている。」


「それが?。」


「私は先も言ったように、ここのギルマスをしている。その前はS 級の冒険者として


活動していた、その俺のHPは9,900過去に出会った古代竜のHPが55,000だった。」



「・・・・・。」


「わかるか、お前はその古代竜に匹敵する数字を持つ化け物ということになる。」


「数字が間違ってるのでは?。」


「そうなら彼女は傷ついていないよ。過剰な魔力量が鋭敏な彼女の感覚器官を焼き


切ってしまったのだ。再起不能だよ、エルフたちになんて言われるか。」


「ギルドには、回復魔法を使える人はいないのですか?。」


「いるが、臓器の欠損をもとに戻せるほどのものはいない。」


「私はできますが?。」


「この状況で、頼めるとでも?。」


「不可抗力でしょう?私が故意にやったわけではないですし。」


「が、しかし・・・。」


「ギルマス、ルイリアを助けてください。」



受付嬢がすがるような眼でおっさんを見ている。



「わかった、頼めるか?。」


許可が出たので、ルイリアと呼ばれるエルフの女性のそばに移動する。


まずは彼女の頭部をスキャンする、磁気共鳴やX線や超音波エコーで内部を


解析する。人間とほとんど変わらないが、脳の一部が激しく内出血している。


神経の配列が難しいな、これを修復するのは・・参考になる物があればいいのだが



「この建物か近くにエルフはいませんか?。」


「なぜだ?。」


「エルフと私達とは身体の構造が違うから参考にしたいのよ、間違って戻してしまう


と取り返しがつかないから。」


「わかった、すぐ探させる。」


 

そう言うと受付嬢の方を向いて指示を出した。無言でうなずき部屋から出ていく。


ルイリアを座ってる椅子から部屋の片隅にあるソファーに移したそうにしている


ギルマスの気持ちもわからないでもないけれど今動かすのは危険だ。


受付嬢はすぐに戻ってきた、その後に続いてエルフの冒険者が入ってきた。



「彼の、も参考にさせてもらいますが、女性はいませんか?。」


「すぐに、来られます。」


「男ではだめなのか?。」


「我々人でも構造が違います。エルフならなおのことだと思いますが。」



エルフの冒険者を座らせて頭部をスキャンする、おおよその構造は大差ないが。


ドアが開き年配の女性が入ってきた。帽子で隠して入るがエルフに違いない。



「ラメリア、ルイノアが怪我をしたって本当かい?。」


「ええ、とにかく今は協力して頂戴。」



受付嬢=ラメリアが彼女を俺のもとに進ませた。


スキャンをしてみると、やはり男と女では脳の構造に若干の違いがある。



「できるか?」



【解析】【高度医療】【治癒】 【回復】



「あとは安静にしてください。」















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