第17話 知らない・・・世界だ。
「この国の隣に学校があるそうですよ。」
・・・いや何か急に話が飛ぶなデリンさんや。
隣というと商業都市ワーニナにか?
たしかに商人の町だからそれ系の学校はあるだろうな。でも商売の学校に行っても
「隣のワーニナではなく、この近辺は7つの都市国家が集合して連合国になってます
よね。」
確か、港湾都市ポルダム、商業都市ワーニナ、学園都市カレビア、
鉱山都市クリゴリア、工業都市ジリジオ、生産都市ライミアそして、
軍事都市ガルドーナの7つが連合し「7都市連合国家」と名乗るんだったか
「ということは、学園都市カレビアか。」
「そうですね、そこのグレーシア総合学院にいれたいようですね。」
「いやいや、途中から編入なんてできないだろう?。」
「この大陸の各国の共同出資で治外法権、入学資格は厳格で例え王族でも試験に
通らなければ入れないはずだぞ。」
「そこに俺を入れようと?。」
「おそらくは、その手配に奔走されてるようですよ。大使とその奥様が、」
「特に、奥様はその交友関係をフルに使っておいでのようです。」
いや、別に冒険者でいいから、なんなら追手がかかっても返り討ちできるだけの
チートもあるし。
「おやマスターは、あの大使夫人から逃げおおせると?。」
すいません、自信はないです。ないですけどね、学校ねぇ。
大使夫人は柔らかくって、大きくって、気持ちいいのだよ、何がなんてきくなよ。
仕方あるまい前世は男なのだ、たとえ今が女の子だとしても・・・。
バタン!という音とともに大使夫人バーバラが飛び込んできて、
俺をその胸に抱きしめる。
「ヴェネ、決まったわよ~。」
「な、何がですか小母様。」
「婚約者じゃなくて、入学よ 学校にいきましょう。」
「が、学校ですか、その前に不穏な一言が聞こえたような。」
「そうかしら、気の所為よ、それより制服を作らないとねぇ。」
「お、小母様学校はどこの都市の?。」
「あら、言ってなかったかしら貴族や王族が平民とともに学べるのは、
グレーシア総合学院しかないわよ。あそこなら目立たないと思うし
何より制服が可愛いのよ。」
「ハハハ、そうなんですね。」
ウキウキとした大使夫人バーバラの腕の中からようやく抜け出した俺の前には
デリンと同じメイド服の1団が現れていた。
「「「お召し替えをいたしましょう。」」」
「そうね、今すぐ採寸にいきましょう。それと必要なものも買わなければ。」
そこに俺の人権はないようであった。
デリンどこ行った?。
「諦めてください、マスター。」
直ぐ側で、ささやきかけてくるメイドの顔が崩れて、見慣れたデリンの人間体の顔に
なる。それ不気味なんだから人前でやるなよ泣くぞ、最近はこの身体に引っ張られて
精神が逆行して外見年齢に近い感じなってるんだからな。
その後、馬車は貴族様御用達と言われるブティックに到着。
店内に運び込まれた俺は、まさにきせかえ人形。
開放されたのは日が暮れてからだった。
どうやら小母様は、学校への編入手続きで忙しくてずっと我慢していたらしい。
彼女自身にも子供はいるのだが、いずれも男の子で幼い頃は女の子の服も着せていた
そうだが、流石に成人が近くなるとそうもいかず、大使を支える日々にストレスが
溜まっていたそうだ。そんなときに現れたかっての親友の忘れ形見、しかも都合よく
手元においておける状況ーって俺はストレス発散の道具じゃなーい。
と言えればいいんだが、ここ数日お世話になってるし今のところ王国からの隠れ蓑と
して利用させてもらってる。別に正面切って王国と対立してもいいんだけどそれで
苦労するのは国民なんだよね。
その後も入学までは毎日のように買い物に、お茶会、編入のための勉強の日々。
幸いなことにこの身体意外と物覚えがいいので、助かることが多い。
なんで、説明だけになってるかって?。それはね精神的なダメージが多くて
思い出したくないからなんだよ。
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