第13話 最初の天井?!
ゴーレムの倒した魔獣の数も経験値として俺に入ってくるのはいいんだけれど、
距離的な制約があるようで、離れ過ぎると経験値は入らないことが、
数日後にわかった。ゴーレムたちが拡散し過ぎたためと思われる。
「Ken」の配下のケンタウロス型4体、「Ane」配下のアネモネ型3体、「Ramy」の
配下のラミア型3体を1つの部隊として各方向に複数回に分けて時間を開けて、
送り出している。
ゴーレムには、長弓を装備し、片手剣と盾を持つ騎士型。長槍を持ち、両手剣を装備
する重騎士型。各武装の補給物資を牽引する兵士。武力斥候に長ける兵士などの役割
を分担しまさに縦横無尽に走り回ることになるのだが、当然その全てに俺が付き合う
わけではないので、俺の視界内のMAPが埋まるわけではない。
各地を調査するゴーレムのお陰で自ら危険を犯す必要もなくなったので、最初に
目が覚めた海岸に転移できればよかったのだが、はっきり言って覚えていない。
覚えていないところには転移ができない、具体的なイメージができないとだめなよう
でこれだと、物忘れがひどくなったり、ど忘れしてると転移できないなんてことも
起こりそうではあるが、そこはこの後の課題かな。そして、転移の場所として選んだ
のが、しっかり覚えてる最初の寝床つまりは木の上だった。
そこを足場にして、さらに上に上にと木々の間から上昇して海の方を見ると、沖には
大型の船が何艘も見えた。おまけに海岸にも小舟が着いているそして、それに乗って
たであろう人の姿が幾人も見えている。
「人・・・いますね?。」
「なんか・・・いるね。」
「捜索隊じゃないですか、一応~お姫様でしょ?。」
「まぁ、そうなんだけど。一応様子見てきてくれる?。」
俺の記憶にはないけれど、この身体の記憶から考えるとどうもきな臭い。
ただ、この娘は気がついてなかったぽい、まぁ普通の10歳児には感じ取れないよう
に配慮、工夫されてはいたが・・・
<マスター、男性の個体が50体全員帯剣と20名ほどが弓を持っています。革製の鎧を着てます、何かを探してるように見えますがどうします?。>
<・・・出ていく、捜索隊かもしれない。>
<或いはとどめを刺しに来たとか?。>
木の上から地面に降りて、海岸に向けて歩いていく。
森林を出たところで、捜索中の男達数人に見つかり声をかけられた。
あれよあれよという間に集まってくるんだが、一定の距離以上近付こうとはしない
何故かと言うと、俺のすぐ横に大型の両手剣を構えた女剣士の姿をしたデリンが
いるからだ。
「姫様・・・ヴァニッサ姫ですよね?。自分は王国近衛騎士団副長のアバンス
です。」
兵士たちの中から一歩前に出た男が兜を脱いで声をかけてくる。
記憶の中からその男の名前を汲み出そうと試みるがーできなかった。
「よくぞご無事で、さぞかし、不安な思いをされたことでしょうが、
もう大丈夫です。ささこちらへ、沖の船には着替えや湯浴みの用意も整えて
あります。」
「あなた方が、王国の騎士である証拠はありますか?。」
「姫さまが心配なさるのもわかりますが、この甲冑の紋章を見忘れましたか?。」
それは確かに記憶にあるアズラール王国の紋章だった。
「アバンス・・・卿、初めて聞く名前だが聞き間違えではないか?。」
「何をおっしゃりますか、アバンス・オン・ラドリオでございます。」
「そうか、では私の知るドアバンス・オン・ラドリオンとは別人のようだな。」
「!。」
「彼は、私と同じ船に乗っていたんだよ。」
その言葉が終わるかどうかのときに、周囲が変わり我々を囲むようにいた兵士が
姿をおぞましい水死体のように変える。
【重力】【x5】【範囲】【半径10m】
俺とデリンを中心に半径10メートルの範囲の重力が5倍になると、
水死体のような物が砂浜にめり込んでいく。
アバンスと名乗ったものがその顔を異形に変えて、どす黒いオーラを醸し出して
重力に耐えている。
「kっsギデナイゾ、コンナヂカラ。」
あっ、潰れた。なんか深海魚がプレスされたようになって砂に染み込むでもなく
黒いモヤだけが立ち上る。
「マスター、沖の船が。」
デリンに示されて沖に停泊する船だった物を見ると、海底から引き上げられた
沈没船の体を晒していた。
その船体には幾重にも海藻のようなものが巻き付いており、幾分無理矢理に海面上に
出ているように見えて、舷側の砲門がこちらをゆっくり向いたと思うと。
砲撃が始まった。
「マジか?。」
【解除】【転移】
デリンとともに砂浜を離れて、高度50メートルの上空へ見下ろす感じでとりあえず
全体を見渡す。
「ん~。」
「どうしました?。」
「いや、こういう時はふつう触手だと思うんだよ。」
「ぬるぬるの?。」
「そうそうって、くわしいな?。」
「記憶を読みましたから。」
「なんか、さらっと怖いことを言うなぁ。」
「我々は、姿かたちを変えるだけではないのですよ。」
触手ならぬネバネバの海藻に絡め取られた沈没船は3艘
その全てが砂浜からジャングル方向に向かって砲撃をしているので、
俺のファーストマイホーム《最初の寝床》は壊滅しました。
ただの草とそこらの木を組み合わせただけのものだけど、ちょっと
腹が立つなぁ、燃やしてしまおう、燃えるかなぁ、海の上だし・・・
【高速吸収 油】たぶん今燃えてるジャングルの中の植物に含まれてるものから
【精製 粘度を高く】イメージはネバネバ(笑)。
【拡散 眼下の船】3隻の上空から雨のように降り注ぐように。
そして最後に【ファイア】火をつける。
「燃えてますね。」
「燃えたね。」
「もしかして、ナパーム?。」
「に、近くなるようにイメージはしたよ水の上だし。」
*ナパーム:ナフサとパーム油とを主原料とした焼夷弾に使われたもの
焼夷剤はヤシ油脂肪酸アルミニウム,ナフテン酸アルミニウムとゲル化したガソリン。航空機から投下され目標物に付着して発火,高熱を出す。
水をかけたくらいでは消えない。
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