第12話  ゴーレム使いじゃないよ・・・?

衛星軌道上からのビーム攻撃による大地の分割、まるでSF小説のような話だが


軌道上からの攻撃。混乱するさなかでの種族ごとに選別し、衛星とはいえ長距離の


大量移送も、恒星間航行を可能とする種族が行ったとすればそれは神の御業に


みえただろう。



「デリンは帰りたいか?。」


「・・・。」



まぁいい答えを期待してたわけじゃないし、帰りたいなら協力すればいいかな。



「それよりも、なぁデリンここはどこなんだ?。」


「何に見えます?。」


「海・・・かな?。」


「海でしょうね。」



俺達は海岸に面した崖の上にいた。


山のような何か巨大なものに遭遇してから数十日、ゴーレムで森林の中を走ったり、


時には飛んだりしながら進みに進んで今、潮風に吹かれながら眼の前に


広がる水平線を見ていた。頭上には海鳥だろうか白い鳥が何匹か舞っている。



「ここは、南北大陸ではなくどこかの島だったのか?。」


「別の大陸ということもありますが、それだと私が眠ってる何かが変わったことに


なりますね。」


「何か?。」


「外から《軌道上から》見たこの惑星の大陸は一つだけ、それ以外には無かったので


そこに降りたんですよ?。そして色々あって2つに大陸を分けたあとに~あっ!。」



そこまで喋ったあとに急に黙り込んだデリン、可変種であるこいつは本来の姿形を


持たない。その時の状況に合わせた姿形になれるため、今は会話がスムーズにできる


ように人の形を取っている。ただ目覚めたばかりでエネルギーが乏しいらしく、


数日に一度スライムのようなゼリー状になり専用の寝床で数時間過ごす必要がある


とかないとか、うんそれだとあの宇宙のΓ宙域の覇者っぽいな。



「何か思い出したのか?。」


「・・・試射したときに、そういえば大陸の一部分を切り離したような・・・。」


「試射?試し打ちで大陸ぶっ飛ばしたのか?。」


「手加減したんですよ?本気出したら大陸どころかこの恒星系を含む10光年半径を


消滅させることもできたんですから。」


「どこの○ットンだよ、お前の国は○の国かよ。」



俺の頭の中で何かが繰り返し4文字のフレーズを叫び、その背後でシャワシャワ

クルルルって言ってるような気がする。



「ソレハドコカヨソのオハナシデスネ。」



「・・・で、かなり遠くまで陸なんて見えないんだが?。」


「たぶん反対側に来たんだと思いますよ?それか別方向。」


「打ち上げられた海岸の方が大陸に近かったと?。」


「かもしれませんね。お話からすると、ですが。」


「そもそもの話、視界の端に地図が表示されてる人間なんて初めて会いましたし。」



その後、いろいろ聴くと試射のときのビームの幅は100キロ~300キロで、


長さもほぼ同じ深さは3キロくらいでその範囲内の山脈や都市など、自然、人工物、


人、動物、植物を問わず蒸発させた。ということで実は大陸が3つあるような感じに


宇宙からは見えるらしい。


その切り離した部分(大陸)はその間に海水が入り込み海を挟んで、南北大陸とは


隔絶されたようだがなぜか人が居ない。



「警告、のつもりでしたからねぇ。蒸発で生じた津波や嵐などの災害で流されたかも


しれませんね。」


「もちろん、その本番のときはその辺りを考慮して分断する土地との間には


遮断スクリーンを張ってましたから、熱や水害の被害が出ないように。」



それって、明らかに試射のときにやらかしたってことじゃないのかな?知らんけど。


ここに来るまでに、経験値がさらに増えて解禁された魔法も多くなっている。


ツリーに表示されているグレーの部分がかなり減っている。そのなかには、


ありがちだが便利な魔法の名前があった。


【空間転移】これは、ど◯でもドア、ワープホール、ゲートと呼ばれるものだ。


一度言ったことがあるところには一瞬で移動できるというあれだ。


これを使えば、俺とデリンは一瞬で戻れるが、物言わぬ頼もしい俺の兵士達


「ゴーレム」を連れていけないのが問題だ。(数が多すぎるし、広範囲に分散しすぎ


ているために指定しずらいからだ。)


今ではゴーレムの総数は現在2,000体にまで膨れ上がり、その修理とか管理が難しく


なってきたので先日、自動生産の工場を設置した。これにより、自分達で資源を収集


し生産するようになった。けれど補修はせず素材として再利用しているようだ。


工場はデリンのいたピラミッドの自動修復システムを参考まるパクリにしている


俺は基本3体の指揮官ゴーレム「Ken」「Ane」「Ramy」に指示を与えるだけで、


この3体は自分達で協議し、配下のゴーレムに指示を与える。


配下のゴーレムは割り振られた役割のみを黙々と遂行して行くようになった。


レベルアップのたびに指示を加えて改造を加えた結果こうなっていった。


この3体は動力核の他に双方向討論思考型のプログラムを組み込んだ核を持つ


流石、恒星間航行技術を持つ生命体デリンは凄いのを作るね。



ゴーレムの動力源は魔核(魔力結晶、魔石とも呼ばれる)で、これはゴーレムが発掘


もしくは、魔獣を討伐したあとその体内から取り出したものを使用している。


はじめの500体くらいまでは俺の魔力で動いていたが、その後デリンの入れ知恵で


この方式をとってからゴーレムの数が増えていった。


ゴーレムの倒した魔獣の数も経験値として俺に入ってくるので、知らずに色々レベル


アップしていくのは便利というかチートというか。


ゴーレム便利すぎるな・・・。



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